勝てるデザイン

発刊
2021年3月17日
ページ数
400ページ
読了目安
331分
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これからのデザイナーに求められること
選ばれるデザイナーになるのはどうすればいいのか。良いデザインをつくるにはどうすればいいのか。
良いデザインが溢れるようになった現在、デザイナーが生き残っていくために必要な考え方や実践的な技が紹介されています。

勝てるデザインとは

クライアントが勝てる。ライバルデザイナーに勝てる。美大コンプレックスに勝てる。勝つことで自分の心に打ち勝ち、いいデザインをすることで、社内外含め周りの人を笑顔にするのが「勝てるデザイン」である。勝てるデザインをつくるには、次の5つを満たす必要がある。

 

①一撃でわかるデザイン

わかりやすいデザインであること。たくさんの情報量(テキスト、雰囲気、感じなど)を一撃で伝えられていること。一撃で伝えるデザインにするためには、ただなんとなく作るのではなく、狙いを定めた目的を持ったデザインをすることが必要である。思考量はデザインの質に必ず比例する。

 

②ポリシーがあるデザイン

企画内容やデザインの世界観など、大事にすることを明確にし、それを徹底して守り抜いているか。

 

③ならではのデザイン

主語が変わったら成立しないデザイン。Aというクライアント向けのデザインは、Aならではのデザインでなくてはならない。他のクライアントBでも成立するものでは、勝てるデザインと言えない。

 

④興味を奪うデザイン

今は良いデザインが溢れているので、美しく、かっこいいだけでは足りない。デザイン自体がいいだけでなく、作ったものを届け、見る人の興味を奪うものが勝てるデザインである。

 

⑤捨てられないデザイン

捨てられないデザインにするには、飾っておきたくなるような高いクオリティが必要である。

 

デザインは企画を考えるのも大切

デザインは「思考」と「造形」の掛け算でできている。デザインだけをしていては良いデザイナーとは言えない。企画そのものを考えるという意識を持たなければ、良いデザインも生まれてこない。デザインするものがロゴでも書籍でもパッケージでも、クライアント以上に自分の企画として考える。その本気度が良いデザインを生む。

 

良い企画とは「幸せになる人の数が多い」こと。デザインする時はコンセプトや狙いを企画する段階で、幸せになる人の数が多くなるにはどうすればいいかを考えることが大切である。

 

デザインの必殺技を増やす

デザイナーとして成長するためには、デザインの引き出し、自分の必殺技の数を圧倒的に増やすこと。他人の脳からアイデアのエッセンスを借りる。まず、ありとあらゆるデザインの本を読みまくる。それも選り好みせずに端から端まで目を通す。それを頭の中のデザインの引き出しに入れておく。デザインの実例本を見ていいなと思ったらスクラップ、本以外でもいいデザインだなと思ったら頭の中にスクラップを習慣化させること。自分の引き出しにどんどん蓄積していく。

 

いいデザインのエッセンス、要素を自分の引き出しに入れ、何がいいのかを言語化し必殺技を作る。さらに必殺技を効果的な時に使う。この積み重ね、数の蓄積がモノを言う。

 

ダサいデザインはなぜ生まれるのか

デザインのパワーバランスが「思考」に偏りすぎると必ずダサくなる。デザインをするには理屈づけやロジカルな要素が必要だが、そこばかりにこだわって造形がおそろかになる。思考と造形を往復するイメージが理想的である。仮に、造形から生まれたデザインが合ってもいい。その造形に紐づいた考えが後付けできたら、それはそれで全然問題ない。コンセプトは後付けでいい。

 

良いデザインをするにはどうすればいいのか

良いコンセプトからしか良いデザインは生まれない。デザイン案は色や形の違いではなく、「コンセプト」の切り口がまったく違うものを提案すべきである。形や色、書体で提案書を作ってしまうと、選ぶ人の好みになってしまう。

 

プロのデザイナーは、安直なデザインパターンを作ってはいけない。形や色、書体で案を出しても何の意味もない。その選択をクライアントに委ねてもいけない。それはデザイナーの仕事だ。逆に「コンセプト」をデザイナーが選んではいけない。クライアントにしか選べない。

 

https://note.com/tmaeda

参考文献・紹介書籍