考えることこそ教養である

発刊
2021年3月1日
ページ数
208ページ
読了目安
189分
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推薦者

考えることに価値がある
情報や知識があるだけでは価値がない。情報や知識を使って考えることにこそ価値がある。自分のアタマで考えるための型や習慣のつくり方を紹介している一冊。単純にニュースを見て、情報を受け取るだけでなく、その本質を考えることの大切さが書かれています。

情報や知識をどのように使うかに価値がある

誰しも手にしたスマホによって、世界のあらゆる情報に、どこにいても素早く繋がれるようになった結果、「知識」の価値は急落した。「より多く」「より正確に」記憶することは、インターネットで調べればすぐわかる時代に、ほぼ意味をなさなくなっている。「何でも覚えている」「よく知っている」ことは、強みでも何でもなくなった。しかも、世の中は大きな変革の時であり、過去の蓄積でしかない知識だけでは太刀打ちできない。いくら過去問を紐解いても、正解が載っていない世の中になっている。

 

情報や知識をどのように使うか、どうつなぎ合わせて活用するか。そうしたCPU(中央処理装置)的な思考こそが、本当の意味で賢い、つまり価値あることである。このCPU的なアタマの良さを「教養」と呼ぶ。つまり、教養とは「考える力」のことである。

 

自分の頭で考えて、自分なりの意見、結論を出していく過程を「マイ・ストーリー」を作ると名付けた。マイ・ストーリーを作る上で大切なのは「川を上り、海を渡る」ことである。

 

・川を上る:「そもそもそれって何だろう?」という成り立ち、つまり歴史的経緯を探る

・海を渡る:「他の国ではどうしている?」と他国と比較する

 

前者は「時間」という軸で、後者は「世界」という軸で考える。1行のニュース記事を読んだだけでは、何も生まれない。情報を情報として受け止めるだけでなく、その裏にある事実、データ、歴史、関係性を料理の材料のように並べる。その上で、自分の中に蓄積された経験や肌感覚をスパイスにして、考えを巡らせて、時に妄想などを含めた上で、はじめて「マイ・ストーリー」は紡がれる。

 

考える「型」をつくる

考え方にもいくつかの「型」がある。

 

①川を上る

目の前の課題は、もっと大きな課題(源流)を切り取った一部でしかないことがほとんどである。真の課題、本当の狙い、隠れた本質はどこにあるのか。それらを探るためには、一度原点に戻るのが一番いい。

 

②海を渡る

海外にまで視野を広げて、他国や他の地域と比べてみる。

 

③バルコニーを駆け上がる

フロアを確認した上で、そのままバルコニーに駆け上がると、上からはホール全体が見える。優れたリーダーは、バルコニーに駆け上がったからこそ見えた修正点を持って、もう一度フロアに戻る。現場でないとわからないことも多いが、現場にいるからこそ見えないものもある。

 

④場所を変えて考える

視点を変えなければいくら考えてもわからないことも多い。移動する、場所を変えるということも、考えを深める上では必要なことである。環境が変われば、気分も変わり、考えも変わることはある。

 

⑤体験してから考える

経験しないとわからないことがある。現場に足を運んで体験することが大事である。

 

⑥書きながら、話しながら考える

すぐにメモをして、後で時々見返す。「書く」という触感を伴う行為は、五感を刺激して、脳に記憶として定着しやすくなるとともに、考えるという行為につながりやすい。

 

⑦基礎を学んでから考える

どの分野においても、基礎をないがしろにすると、事の本質を理解し大成することはできない。基礎があっての応用である。

 

考えることを習慣づけるための心構え

①アウェイで勝負する(留学、他の業界の勉強会、学校)

②フェイクニュースに惑わされない

③対案を出す(批判だけで対案を出せないのは考えていない証拠である)

④常にユーモアを持つ

⑤視線を未来に向ける