「0から1」の発想術

発刊
2016年4月6日
ページ数
252ページ
読了目安
310分
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「無」から「有」を生み出す思考法
大前研一氏によるイノベーションを生み出す思考法を紹介している一冊。0から1を生み出すための11の考え方が解説されています。

「0から1」を生み出す発想法

①SDF/戦略的自由度
戦略的自由度とは、戦略を立案すべき方向の数の事である。具体的には、ユーザーの目的を満足させる方法をできるだけたくさん抽出し、その中から競争相手が追随できない戦略的に優位になる方策、かつ持続できる方策を講じるという事だ。重要なのは「ユーザーを満足させる」という目的を改めて確認するという事だ。ユーザーが求めている事がわかれば、次にそれを達成するための手段はいくつあるのか洗い出す。その手段の軸に沿って、具体的にできる事は何かを検討して実施する。

 

②アービトラージ
異なる2つの市場の価格差を利用して利益を得ようとする取引のこと。アービトラージを可能にする条件は情報格差だ。これを利用すればビジネスチャンスがたくさんある。上手に用いて非常に高い値段で売れるマーケットで勝負すれば、その分多くの「サヤ」が抜ける。アービトラージという発想法を鍛えるには、情報に対して貪欲になる事である。さらに業界の常識を疑い、外からものを見る事も重要である。

 

③ニュー・コンビネーション
ニュー・コンビネーションとは、既存のもの同士を足し合わせたり、掛け合わせたりする事だ。既存のものが結合する事で、新しいものが誕生する。発展してきた延長線上で物事を思考するのではなく、目の前のあるものに、また別の異物をプラスする事を考える。既存の2つのものを足してみて、価格と価値がいかに変化するかを考える。

 

④固定費に対する貢献
限界利益=固定費+利益。リストラは固定費を減らす手段だが、変動費のように簡単に減らす事はできない。そこで、固定費に対する限界利益の貢献の最大化ができているかを問う。まずは、自社の固定費を書き出す。そして、それらがどれくらい稼働しているかを調べる。そして、今まで稼働していない資産が別の時間で稼働できないかといったアイデアを考える。

 

⑤デジタル大陸時代の発想
今は単体としてのハードウェアが富を生む時代は終わった。個々の技術はスマートフォンやタブレット端末という「デジタル大陸」に収斂された。今やその立ち位置から物事を発想しなければならない。ハードウェアに拘泥していては生き残れない。この変化のスピードについていくためには「5年後にどうなっているか?」という問いを立て、自分なりに予測し、準備する事である。

 

⑥早送りの発想
「早送り」という考え方は、先行している市場からアイデアやイマジネーションを受け、自身のマーケットで事業化を構想してみるという事である。世の中に起きているとても小さな現象(=兆し)を捉え、それを自分の中で「早送り」してみるという事である。

 

⑦空いているものを有効利用する発想
視点を大きく広げて「空いているもの」を見つけ出し、有効利用する。既成概念にとらわれていると「空いている」という認識が持てず、気づきにくい。それを補うためには、一歩引いて360度を見渡す視点が欠かせない。

 

⑧中間地点の発想
同質のものの中に中間点を生み出す。大きな枠の中にあるスイートスポットを見つける。スイートスポットは両端ではなく、その間にある事が多い。両端にばかり行っていた視線を真ん中に戻してみる。

 

⑨RTOCS/他人の立場に立つ発想
現実の「誰か」に成り代わって、その人の立場で発想する。RTOCSで発想力を鍛える場合、1人で考えるだけではなく、4〜5人でブレーンストーミングをするのが望ましい。

 

⑩すべてが意味する事は何?
A,B,C,Dという各論がそれぞれ出た時に「それらすべてが意味する事は何か?」という質問をぶつけ、各論を高い次元で捉える事で「それはXである」という結論を見つけ出す。

 

⑪構想
「あなたには何が見えているか?」、つまり他人に見えない構想を描く。