最高のリーダーは何もしない 内向型人間が最強のチームをつくる!

発刊
2016年2月5日
ページ数
216ページ
読了目安
195分
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1000人以上の優れたリーダーに共通すること
1000人を超えるトップリーダーに取材してきた著者が、優れたリーダーに共通する点を紹介すると共に、これからのリーダーに必要とされる考え方を示している一冊。

最高のリーダーは何もしない

リーダーというと「即断即決・勇猛・大胆」「ついていきたくなるカリスマ性」「頼りになるボス猿」というイメージを持つ方も多いが、こうしたリーダー像は過去のものになりつつある。

従来の「強いリーダーシップ」は、消費者の価値観やニーズの多様化、変化のスピードによって機能不全に陥っている。こうした状況下で、リーダーが自社の商品・サービスのすべてを把握し、それぞれに対して意思決定をしていくのは不可能である。

今、最前線で活躍しているリーダー達は、権限を現場に引渡し、メンバー達に支えられる事で、組織・チームを勝利へと導いている。優秀なリーダーほど「リーダーらしい仕事」を何もしていない。同時に、一流のリーダーの多くは、内向的で、心配性で、繊細であるという点で共通している。

 

6つの発想転換

新しいリーダーシップを身に付けるためには、6つの発想転換が必要である。

①「人を動かす」から「人が動く」へ
めまぐるしく移り変わる複雑なニーズに対応していくには、現場にいるメンバー達が自律的に働き、個別に対応する他ない。それを実現するための最適解が「働く目的」をメンバー全員に明確に伝えていくビジョン型リーダーシップである。これからのリーダーの仕事は、ビジョンをつくる事であり、それをメンバーに浸透させる事である。

 

②「やるべきこと」から「やりたいこと」へ
起業家以外、ほとんどの経営者は、最初からビジョンがあって企業リーダーになった訳ではない。むしろ、経営者という役割を担い、組織を率いる責任を負う中で、ビジョンの重要性に気づいていくという方が正しい。そのため、それぞれの人がビジョンをつくるところからスタートしなくてはならない。

 

③「命令を伝える」から「物語を伝える」へ
常に自社のビジョンに照らし合わせながら意思決定する事を習慣にすれば、メンバーと共に、ビジョンを深く掘り下げて考える機会を持つ事ができる。ビジョンの伝達には、演出や高度なプレゼン技術よりも、ビジョンを意識する機会を「いかにたくさん」日常の中に盛り込めるかが重要である。さらにビジョンの伝達には、リーダー自らがビジョンが自分の腑に落ちていること、説明のベースに誠実さが不可欠である。ビジョンを浸透させるために最も効果があるのは「リーダーが自らの声で語ること」である。

 

④「全員味方」から「全員中立」へ
大きな挑戦につながるプロジェクトを担うリーダーほど、大抵の場合、既得権益を手にしている人達を敵に回し、みんなから好かれる存在にはなりにくい。だからこそ、人望が厚く、敵をつくらない人がリーダーになる。本当に大きな仕事を成し遂げるリーダーは敵をつくらないようにしているし、それ以前に、周りの人に対する愛情や感謝を忘れない。

 

⑤「チームの最前線」から「チームの最後尾」へ
部下が働きやすい環境をつくり、後は口を出さずにじっと見守る。「どこまで広く任せて見守る事ができるか」が「どこまで高いポジションのリーダーを務められるか」を決定づけている。さらに、メンバーが自ら動くチームをつくるには、「なぜ」を伝える必要がある。「何のために行動するのか」を理解させる。ここがわかっているメンバーは、自分の仕事を深く見つめ、自信を持って自ら動けるようになる。

 

⑥「きれいごとも」から「きれいごとで」へ
今の社会に足りないものは「人と人のつながり」「助け合い」である。若者達は、目に見えるモノやお金ではなく、人と人とのつながりといった「精神的な豊かさ」を求めている。これからのリーダーが語るべき「成果」とは、売上・利益や昇進・昇給ではなく、仕事の先にある「社会への貢献」である。