News Diet

発刊
2021年2月10日
ページ数
302ページ
読了目安
328分
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ニュースを読むのは時間のムダ
情報が溢れる世界で、毎日大量に報じられるニュースのほとんどは役に立たない。ニュースを見ることで奪われる時間や集中力の低下といったデメリットに目を向け、ニュースを見る時間を減らすことを推奨する一冊。

ニュースを生活から排除せよ

「ニュース」の最もシンプルな定義は「短くまとめられた世界各地からの情報」だろう。こうした情報の大部分は個人の世界に関係ない。大々的に報じられているニュースほど、個人にとって重要度は低い。

ニュースが発明されて以降、編集者は読者の興味をかき立て、新聞の売上につながるものはすべて、重要かどうか関係なく「伝える価値のあるもの」と見なすようになった。そして、新しい情報を重要なものとほめそやす厚かましさや勢いはエスカレートしている。ここ20年の間にインターネットやスマートフォンが定着したことによって、ニュースへの依存度は危険で病的なレベルまでに達している。

 

「ニュース」の対極に位置するのは、長い形式のもの、新聞や雑誌の長文記事、エッセー、特集記事、ルポタージュ、ドキュメンタリー番組、本などだ。それらの多くが伝える内容は有益で、新しい知識や物事の背景情報をもたらしてくれる。
但し、これらの形式を通して得られる情報も常に重要とは限らず、ニュースに汚染されている場合も多い。

 

現在の私たちとニュースの関係は、20年前の私たちと砂糖やファストフードの関係と同じである。ニュースは砂糖が体に及ぼす影響と同じような影響を精神に及ぼす。食欲をそそり、消化もしやすいが、極めて有害でもある。ニュースは際限なくむさぼることはできるが、それらは安っぽい砂糖の塊に過ぎない。

 

今すぐすべきことは、ニュースを生活から排除することだ。そして、何より大事なのは、世界の複雑さを伝えられるだけの能力や情報源を持ち、事実を尻込みせずに伝えている雑誌や本を読むことだ。

ニュースなしの生活を送ると、前よりもずっと時間の余裕ができていることに気づくだろうし、集中力が上がっていることにも、世界をもっとよく理解できていることにも気づくだろう。ニュースがなくても大事な情報を逃すことはない。本当に大事な情報は、専門誌を通して、あるいは友人や言葉をかわした誰かを通して、適切なタイミングで耳に入るものである。

 

ニュースはあなたとは「無関係」である

この1年でむさぼり読んだニュースは、およそ2万本にのぼるだろう。控えめに見積もっても1日あたり約60本は読んだことになる。その中に、あなたが自分の人生や家族や、キャリア、健康、ビジネスに関して、より良い決断を下すのに役立ったニュースはあっただろうか。

 

あなたの人生における重要なこととニュースにはなんの関連もない。ニュースは楽しめる場合もあるが、基本的になんの役にも立たない。だがそれを認めることへの心理的な抵抗の大きさから、この事実を受け入れられない人は多い。

 

ニュースの重要度とメディアの関心の高さは反比例している。ニュースで盛んに報じられる出来事ほど重要度は低い。あなたにとっての重要事項を、メディアから見た重要事項と混同してはならない。メディアにとっては、読者の注意を引くものすべて重要なのだ。

 

広い知識より深い知識を身につけよ

広く学ぶのではなく、深く学ぶこと。重要度が高く、加えて「能力の輪」(並外れた能力を発揮できる得意分野)に関わりのあるテーマに取り組むといい。人は能力の輪の内側にあるものには習熟できるが、輪の外側にあるものは、理解できないか、ほんの一部しか理解できない。

 

自分の「能力の輪」を意識しながらキャリアを築くこと。自分の「能力の輪」に常に一貫してピントを合わせていれば、そこからもたらされるのは金銭的な成果だけではない。時間も大幅に節約できる。「能力の輪」の境界がわかっていれば、注意を向けるべきものと向けるべきではないものを、その都度見極めなくてすむからだ。

「能力の輪」の内側にある情報はどれも価値のあるものばかりだが、「能力の輪」の外側はすべて無視した方がいい。「能力の輪」の外にある情報を消費するのは時間の無駄になるばかりか、集中力を低下させる原因にもなる。