あなたがテロリストならどんな攻撃を仕掛ける?
自分がテロリストで、使える資源に限りがあるなら、どうやって恐れを最大化するか。それぞれの個人がテロに遭う確率はとても低い。人間はめったに起きない事の確率を大げさに見積もる傾向があるから、テロが呼び起こす恐れは実際のリスクからすると分不相応に大きい。まず、テロリストは軍団と言っていいぐらいたくさんいるのだと思わせる。あちこちで一斉にテロを起こして、その後また、間髪をいれずにもっとたくさんのテロを仕掛ける。
これまでに聞いた一番いいテロ計画は、ライフルと車で武装させたテロリスト20人を国中にばらばらに放ち、あらかじめ決めた日時に無差別な狙撃を始めさせる。大都市、小都市、郊外、いろんなところで人を撃たせる。テロリスト達には頻繁に居場所を変えさせる。次のテロ攻撃はいつ、どこで仕掛けられるのか誰にもわからない。効果は絶大、信じられないくらいの大混乱が起きるだろう。
赤ん坊の名前は先が読めない
将来、どんな名前が流行って、どんな名前が廃れるのかは予想できるのか。ここ数年は使われてた名前の内、絶対にこれは廃れるって名前を1つ選ばないといけないとしたら、選ぶのはカトリーナかもしれない。街を1つ、ほとんど丸ごと吹き飛ばしてしまったハリケーンと同じ名前を自分の赤ん坊に付けたいなんて人はいる訳ないだろう。
実際、ハリケーン・カトリーナ後の12ヶ月間を見ると、確かにこの名前は選ばれなくなっている。女の子の名前人気ランキングでは247位から382位と大幅に下がっている。しかし、ハリケーン・カトリーナに一番ひどい被害を受けた州2つを取り上げて、ハリケーンの前後それぞれ12ヶ月で見ると、この名前はむしろ後の方がよく選ばれている。ひょっとすると、ルイジアナで新しく親になった人達は、自分達があの嵐を生き延びた証として、赤ん坊にカトリーナという名前を付けたのかもしれない。ハリケーンの後、ルイジアナとミシシッピで、カトリーナと名付けられる赤ん坊が増えると予想した人は知る限りいない。
コカ・コーラの秘密のレシピが手に入るとしたらペプシはいくら出す?
コークの秘密のレシピは、ペプシにとってほとんど何の価値もない。ペプシがコークの秘密のレシピを手に入れてそれを公表し、コークと全く同じ味のする飲み物を誰でも作れるようにしたとする。これは処方箋の特許が切れて、ジェネリック薬品の会社が製造に乗り出す時の状況にそっくりだ。影響はというと、本物のコークの値段は大幅に下がる。たぶんペプシにも悪い事が起きる。コークの値段がとても安くなったので、世の中の人はペプシからコークに乗り換えるだろう。ペプシの方も利益が減ってしまうのだ。
ヤクの売人がウォルグリーンを見習えばほんとに大儲けできるだろう
ある医師は、ジェネリック薬品はまだ高すぎて自分の患者達には手が届かないと言う。ウォルグリーン等の薬局チェーンは、ジェネリック薬品をずいぶん高い値段で売っているそうだ。そこで、チェーン店ではコストコやサムズ・クラブで会員になるとかかる年会費を計算に入れても、びっくりするぐらい値段が違う事に気づいた。
ヒューストンの店で見た、ジェネリックのプロザック90錠の値段はこうだ。ウォルグリーン:117ドル、エッカード:115ドル、CVS:115ドル、サムズ・クラブ:15ドル、コストコ:12ドル。
ウォルグリーンで1瓶117ドルするのと同じ錠剤が、コストコにいけば12ドルで買える。なぜウォルグリーンで薬を買う人がいるのか。いつもウォルグリーンで薬を買ってるならやっぱりウォルグリーンで薬を買ってしまう。ジェネリック薬品の値段なんてどこへ行っても同じだろうと思い込んでしまう。情報の非対称性とはこの事だ。価格の差別化とはこの事だ。
銀行を襲うならいつがいい?
FBIによると、アメリカでは1年にざっと5000件の銀行強盗が起きる。ダントツで多いのは、平日の金曜日で、1年に1024件起きている。次に多いのが火曜日(922件)、木曜日(885件)、月曜日(858件)、水曜日(842件)の順だ。でも、どれかの曜日が他の曜日に比べて成功しやすいという証拠は見られない。
それから、銀行に押し込む人達は、一番上手に稼ぐには、なんて事を考えるのが得意ではなさそうである。銀行に押し込むなら午後より午前の方がずっとたくさん稼げる。(5180ドル対3705ドル)。なのに、銀行が襲われるのは圧倒的に午後だ。全体として見ると、アメリカの銀行強盗は、成功した場合、平均で1回あたり4120ドルを稼いでいる。しかし成功率は高くなかった。100回に35回は捕まっている。
イギリスへ行っても銀行強盗の成功率はアメリカと同じようなものだ。でも、イギリスの銀行強盗の方が、全体としてはずっとたくさん稼いでいる。銀行を襲うと、失敗する場合も含めて、平均では大体3万ドル稼げる。銀行強盗の稼ぎは強盗1人あたり平均で1万8000ドルだ。これはアメリカの同業者に比べるとずっと多い。でもやはり、逮捕される可能性は高い。利益を追求する生業としての銀行強盗には大きな課題が残る。銀行を襲うなら一番いいのは、どうやら絶対襲わない事だ。