MaaSをめぐる冒険 ジョルダンの見据える未来像

発刊
2020年12月24日
ページ数
158ページ
読了目安
127分
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ジョルダンの展開するMaaSとは
交通機関の乗換案内サービスを提供するジョルダンが取り組んでいるMaaS事業の立ち上げから、事例を紹介している一冊。アプリのルート検索からチケットの予約・決済まですぐにできる仕組みを構築するための取り組みが書かれています。

MaaSとは

ジョルダンは、インターネットを通じて交通機関の「乗換案内」サービスを提供している。月間の検索回数2億回以上、月間約1400万人に利用されている。今ではスマートフォンの検索窓に、この場所からこの場所まで移動したい、と住所や目印となる建物などを打ち込めば、駅から駅、バス停から駅などの経路や時刻、運賃はもちろん、駅やバス停から目的地までの地図情報も現れ、おおよその所要時間も表示されるのが当たり前という環境になった。

しかし、ルートや経路や運賃は教えてもらったとしても、バスが走っていないところは自ら歩くかタクシーを呼んで乗るしかないし、利用したい時に列車やバスが走っていない時間帯もある。そして、それぞれの交通機関でチケットを買ったり、電子マネーで支払ったり、特急や新幹線に乗る時には、鉄道会社のサイトへ移動して予約する必要も出てくる。

 

この少し面倒な状態を解消しようというのが「MaaS(Mobility as a Service)」という概念である。バスや鉄道がなかったり、運転されていなかったりする時間帯には、タクシーや各種モビリティ(移動手段)を使う方法が示され、画面上で予約と決済を済ませておけば、ルート検索で示された場所と時間に迎えに来てくれる。あるいは、レンタカーやレンタサイクルという手段が提示されることもあるだろう。

スマートフォン上で検索し、ルートを選んで決済しておけば、あとはそれに沿って、できるだけスムースに、快適に移動できる仕組みを作るというのが「MaaS」の最終目標で、次世代の交通・移動システムや交通のIT化などとも呼ばれている。

 

MaaSという言葉が生まれたきっかけは、2016年にフィンランドの首都ヘルシンキで始まった「Whim(ウィム)」というアプリだと言われている。Whimでは、毎月一定の金額を払えば、鉄道やバスに無制限に乗れ、タクシーやレンタカー、レンタサイクルも一定距離なら無料となっており、ヘルシンキの街を自由自在に動き回る上では完全無欠と言える移動アプリだ。Whimは、移動に最適な経路を検索することはもちろん、予約や決済機能も付いているし、サブスクの仕組みを交通機関に導入したことで画期的だと言われている。何より、政府や行政がマイカー依存からの脱却を目指す政策として主導した点に注目を集めた。

 

MaaSが目指す世界観

ジョルダンには交通機関のデータは蓄積されているが、バスやタクシーを実際に運行することはできないし、今のところ自動運転の画期的な移動手段を開発する技術力や製造設備はない。究極に快適な移動環境を実現させるには、ジョルダンの力だけでは到底無理であるため、誰でも参加できる箱として、JMaaSという子会社を設立した。

 

日本には路面電車やケーブルカーといった地域の企業まで鉄道会社だけでも400社以上あり、バス会社の数はその10倍以上になる。さらに旅客船会社、タクシー会社や新たなモビリティを開発する企業など、移動に関わる企業は無数に存在する。

MaaSが目指す世界観では、快適かつ時間通りに移動することが第一目的なので、そこにJRも私鉄も、バスもタクシーも関係なく、利用者のニーズに沿った形でのみ移動手段を勧め、その間に紙のチケットを買う必要のない環境を創り出すことが理想だ。そこで、ジョルダンは、まず交通機関のチケット決済という部分から始めることにした。経路検索時に乗車券などのチケット決済ができれば、利用者は便利なはずという発想からだ。

 

英国企業のMasabi社の技術を導入し、ジョルダンは日本でモバイルチケットの普及に向けて本腰を入れ始めた。日本の「車内検札」や窓口で、人の目によってチケットを確認する目検だけでなく、自動改札機のように読み取り機を使ったチェックも可能で、交通機関側の都合で、どちらの形も対応が可能だ。

モバイルチケットの導入は、現在全国で相次いでおり、2020年冬時点で全国20ヶ所以上で検討が進んでいる。

参考文献・紹介書籍