敗者のゲーム―金融危機を超えて

発刊
2011年2月25日
ページ数
255ページ
読了目安
394分
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投資の古典的バイブル
投資の運用哲学の古典として投資家に読み継がれてきたロングセラー。1985年に初版が発刊されて以来、第5版にまで至っている。2008年の金融危機後も当初の投資哲学の基本的な部分は変わっていないと説く。

投資に興味のある人は、一度は読んでおいて損はない名著。

敗者のゲーム

プロの投資家がしのぎを削るようになった市場で、個人投資家が勝てる可能性はほとんどない。アクティブ運用で勝つ唯一の方法は、他の投資家のミスに、相手よりも素早く乗じることである。しかし、これでは、ほとんどの投資家と運用機関は思うような結果を出せない。投資とは「敗者のゲーム」なのである。

「敗者のゲーム」に勝つ方法は、そもそもプレーしないこと。インデックス・ファンド等のパッシブ運用を行うべきである。

 

ほとんどの投資家は勝てない

伝統的に資産運用の世界では、市場に勝つことができるという基本的な信念が支配的だった。しかし時代は変わり、今日ではこの前提は、プロの運用機関にとってさえあてはまらない。

個人投資家がマーケットの90%を占めていた1950〜60年代に、プロの投資家が大きな利益を上げることは当然だった。しかし、今日では投資信託や年金基金、ヘッジファンド等が飛躍的に拡大した。ニューヨーク証券取引所における売買代金は、機関投資家が9割、個人投資家が1割となった。さらに取引総額の75%はトップ100社の機関投資家によって占められている。

数多くの強力な同業者がしのぎを削る機関投資家の世界で、資産運用は「勝者を目指すゲーム」とはならない。プロの資産運用は「敗者にならないことを目指すゲーム」へと変質した。

「勝者のゲーム」では、勝者のウィニング・ショットにより勝負が決まるが、「敗者のゲーム」では敗者のミスによって勝負が決まる。他の投資家のミスに、相手よりも素早く乗じることが、勝つための秘訣となる。

新しいルールの下では、競争が厳しく、投資顧問料や売買手数料、その他のコストを取り返すのが難しい。そのため、運用機関全体の75%の成績は市場平均を下回る。

 

長期的に運用せよ

投資で成功する秘訣は、証券会社や投資信託から送られてくる膨大な宣伝広告、ファンドの運用成績、市場の見通しの類を一切無視することである。その上で、投資家自身の最大の目標を達成する上で、長期的に最も可能性の高い運用方針を策定する。

短期的には、マーケットの予期せざる展開や出来事は避けられない。しかし、長期的には、運用成果は「平均へ回帰」する。投資で成功する上での最大の課題は、頭を使うことではなく、感情をコントロールすることである。乱高下するマーケットに惑わされず、特にその「天井」と「底」において、当初の投資政策を堅持し続けることが必要である。

運用方針の策定にあたっては、株式と債券等への長期的な資産配分が最も重要になる。個別ファンドや銘柄の選択は、コストがかかる割に効果はほとんどない。

 

インデックス・ファンドを活用せよ

投資で勝ち続けるに、最も簡単な方法はインデックス・ファンドを活用する方法である。インデックス・ファンドを使えば、トップ・プロをスタッフに抱えるのと同じメリットが得られるだけでなく、安心感もあり、手数料も税率も安い。

平均程度のリターンしか得られないと、不人気であるが、長期的に見れば、ほとんどのプロの運用機関よりも、そして個人投資家と比べればはるかに高いリターンを収めることができる。全米随一の投資家ウォーレン・バフェット自身も、個人投資家はインデックス・ファンドを活用すべきだと主張している。

参考文献・紹介書籍