スペースをつくりだす
マインドフルネス・トレーニングを行えば、私たちの生活に何より必要なもの「スペース」をうまく見つけられる。「スペース」とは、精神的、感情的なスペースのことだ。私たちの前にあるものや私たちの中にあるものを見て、感じ、聞き、考えをめぐらすための容量のことである。そのスペースがあれば、たとえ緊急の問題が起こっても、その場しのぎの反応をするのではなく、落ち着いて、創造的に、思いやりを持って対応できる。
生活の中にスペースをつくりだす方法の1つは、マインドフル・リーダーシップの研修会に参加することだ。
リーダーにはマインドフルネスが必要
優れたリーダーシップを発揮するためには、マインドフル・リーダーシップが必要である。そして、優れたリーダーシップは、職場での行動だけでなく、人生をどのように生きるか、家族や友人、地域社会とどうつながるのかという点で、意識的な選択をすることにもつながる。
マインドフルなリーダーは、集中力、明確さ、創造性、そして他者への思いやりを養うことによって、リーダーの影響力を体現している。リーダーシップの影響力は、目に見える特性である。「今この瞬間」に対して客観的な視点を持ち、細心の注意を払わなければ、体現することはできない。マインドフルなリーダーの周囲にいると、その影響力は目に見え、感じることができる。
マインドフルネスによってリーダーの影響力を高める作業は、自分がいかに多くの時間を「継続的な部分的注意」の進んだ状態で過ごしているかを認識することから始まる。「継続的な部分的注意」は、人を消耗させ、効率を低下させる。現代の脳科学では、人間の精神の容量は、マルチタスクをするには小さすぎることが判明している。
呼吸する感覚に意識を集中する
今すぐに、ゆったりと座って目を閉じ、自分が呼吸していることを感じること。体で呼吸を感じるだけだ。それがやることリストの唯一の課題だ。呼吸を変える必要はない。息を吸って吐いている感覚を感じることを5分間行う。感覚への集中を維持すること。
呼吸の感覚に注意する練習をしておけば、それが「今ここ」に引き戻す貴重な錨の役割を果たす。紛糾する会議や難しい話し合いの最中など、本来なら気が散ってしまうような時でもそうだ。呼吸を感じられるのは今だけであり、過去や未来では感じられない。だから、何度か呼吸する間、意図的に呼吸の感覚に意識を集中すれば、心は未来への不安や過去の思い出から、今この瞬間に戻ってくる。
デスクチェアの瞑想
呼吸の感覚に注意を向けて、デスクチェアの瞑想を始める。準備ができたら、注意を足の裏に向け、気づいている感覚がなんであれ、その感覚に心を開く。
足の裏にかかる圧力に気づくかもしれない。足の裏が温かい、あるいは冷たいことに気づくかもしれない。とにかくただ気づくだけでいい。心が彷徨い始めたら、しっかりと、かつ優しく注意を向け直す。
次に注意を足先へ、足首へ、下腿へ、膝へ、そしてその先へと移動させる。少しずつ体全体をスキャンする。様々な感覚に気づいていく。そして感覚のない体のエリアに気づいていく。今ここにあるものに対して時間を使って心を開き、全身のスキャンを続ける。