ベゾス・レター アマゾンに学ぶ14ヵ条の成長原則

発刊
2019年11月18日
ページ数
352ページ
読了目安
452分
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アマゾンが成功した理由
アマゾンが、1997年から株主に宛に毎年公表するレター21年分を分析し、そこからジェフ・ベゾスの考え方と成功の法則を導いた一冊。

リスクを活用する

リスクと事業の成長との間には切っても切れないつながりがある。アマゾンの成長を牽引したのは、リスクをとって活用するというベゾス独自の手法と、ベゾスが実験と発明を重視する企業文化の形成に力を注いだことにある。そして、その基盤になったのは、成功と失敗に対するベゾスの考え方だ。

ベゾスは、毎年株主向けにレターを発表している。このレターを見れば、アマゾンの創業から現在までのベゾスの考え方や戦略がすべてわかる。ベゾスは、リスクと成長とが絶妙な緊張関係にあることをわかっていた。そこで、常に「リスク利益率(リスクにかかるコストとそれに対するリターン)」を分析した。ベゾスにとってリスクとは、意図的かつ計算が立つものだった。

レターに書かれているのは、どんな業種のどんな事業でも役に立つ法則だ。この原則を「成長サイクル」と「成長への14ヵ条」と名付けた。成長サイクルとは「実験」「構築」「加速」「規模の拡大」の4つで、成長への14ヵ条の各項目は成長サイクルのいずれかに当てはまる。ベゾスは、ほぼどの事業に対してもこの成長サイクルを使っている。

成長への14ヵ条

アマゾンの成長に欠かせない成長サイクルと成長への14ヵ条のすべては1通目である1997年版レターの中に書かれていた。そして、ベゾスは毎年、レターの最後に欠かさず1997年版レターを添付している。

●実験
①「いい失敗」を促す
リスクに投資して、あえて「失敗」するチャンスを生み出さない限り、成長もできなければ、広い視野を持てない。いい失敗とは、そこから学んだことがあり、今後に活かせるものだ。

②大きなアイデアに賭ける
アマゾンは大きなアイデアに賭ける。その進め方は、どれだけ大きな可能性を秘めているアイデアであっても、最初は低い賭け金から始める。

③ダイナミックな発明や革新を実践する
アマゾンにはどの社員にも実験できる環境が与えられていて、その中で生まれた最高のアイデアは積極的に全員に共有されている。

●構築
④顧客にこだわる
社員は問題ではなく解決策に着目して取り組む。ベゾスが求めているのは、常に先回りすることだ。

⑤長期的な考え方を採用する
今年の利益を犠牲にしてでも、長期的な顧客ロイヤルティや商品チャンスに投資して、来年やそれ以降にもっと大きな利益を生み出すことを選ぶ。

⑥自分の「弾み車」を理解する
「品揃えと利便性の向上」→「顧客体験」→「トラフィック」→「出品者の数」→「低コスト構造」→「低価格」
アマゾンはこの6つの領域を改善し続ければ、弾み車に力が加わり続ける。

●加速
⑦決定は迅速に行う
「重大かつ後戻りできない大きな決定」と「変えることも取りやめることもでき、うまくいかなくてもこの世の終わりにならないような決定」の2種類に意思決定を分けて、迅速な決断を促す。

⑧複雑なことを単純化する

⑨テクノロジーで時間を短縮する
ベゾスは常に、アマゾンの現在のやり方を大きく変革できるようなテクノロジーを使って、事業を速くうまく成長させる機会をうかがっている。

⑩所有者意識を持たせる
アマゾンでは社員の査定基準に「会社を所有しているかのように行動できているか」という項目がある。

●規模の拡大
⑪企業文化を守る
「アマゾンリーダーシップ14ヵ条には、社内での振る舞いだけでなく、各社員が取引先や顧客とどう接するべきか言及している。

⑫高水準を重視する
まず、顧客に届けたい水準を決める。次に顧客体験に関わる全社員に対して、その水準の遵守を求める。最後に時間と金をかけて水準を引き上げ続ける。

⑬重要な項目を計測し、計測項目を疑い、自分の直感を信じる

⑭常に1日目だと信じる
創業時にこだわった顧客の要望に応えることや顧客を喜ばせること、当時の価値観を忘れずに大切にし続ける。「1日目」という概念はその拠り所になっている。