魔法のコンパス 道なき道の歩き方

発刊
2016年8月12日
ページ数
334ページ
読了目安
198分
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芸人界の異端児が語る 常識の覆し方
絵本作家やイベンターなどとして、マルチに活躍するお笑い芸人キングコング西野氏が、新しい仕事の生み出し方、これからのエンタメのあり方などを語った一冊。今の時代のマーケティングについて、考えさせられます。

世の中にはまだまだ見落としていることがある

箱根駅伝のランナーは、時速20kmで走っている。しかし、テレビの画面からは、その速さがどうして伝わらないのか。その犯人は、カメラとランナーの間にいる白バイのオッサンだ。白バイからしてみれば、時速20kmなんてよちよち歩きで、白バイのオッサンは常に余裕の表情である。ここを改善すれば、ランナーのスピードが画面から伝わり、箱根駅伝がもっと面白くなるに違いない。そのために、白バイのオッサンには、代わりにママチャリに乗ってもらおうではないか。自転車といえど、時速20kmで走り続けるのは至難の業だ。当然、オッサンは、汗をほとばしらせ、鬼の形相になる。

超人を、超人たらしめるには、基準となる凡人の存在が必要不可欠。こういった取りこぼしが、身の回りには間違いなくまだまだ残っていて、世の中はもっと面白くなる。

 

まず「問い」を持つ

大切なのは「問い」を持つこと。「問い」を持つ癖を身につけなければ、面白いことは何一つ始まらない。しかし、自分の人生を賭けるほどの「壮大な問い」は、自分にとって「居心地が良い場所」にはあまり落ちていない。それは、すでにその場所にあった「壮大な問い」は、すべて誰かが解決してくれたからだ。

つまり、人生を賭けるほどの「問い」を見つけるには、居心地の悪い場所に立つ必要がある。そうすることで、入ってくる情報が違ってくる。そして、「問い」には必ず「答え」が埋まっている。まずは、誰も踏み入れていないような足場の悪い場所に行く。

 

嫌なことも前に進む力となる

「問い」が見つかったら、次は「問い」の答え方。その方法は、人それぞれあるが、常に「ヨットのように進む」ことを心がけている。ヨットは風を利用して前に進んでいる。追い風の時はもちろん、向かい風であろうと、帆の傾け方次第で前に進むことができる。厄介なのは「無風状態」の時で、この時ばかりは手漕ぎで大変な労力がいる。

これを自分の人生や企画に置き換えてみた時に、ヨットは自分自身で風はその時の状況だ。多くの人は「嫌なこと」を消そうとする。しかし、その「嫌なこと」は向かい風で、やはりこれも前に進む力となる。「向かい風も追い風」という感覚は常に持っておいたほうがいい。それだけで、自分がどこに力を入れたら良いかが明確になってくる。

 

勝てる場所で努力する

社会に出れば分業制で回るから、弱点は他人に補ってもらえばよく、弱点を克服する必要はない。通知表で言えば「オール3」問いう状態が最もマズイ状況で、他の教科なんて「1」でいいので、その時間を使って、自分の「4」を「5」にする作業をしたほうがいい。学校と違って、競争社会で引き抜かれるのは「5」のみであり、「1〜4」まではゼロだ。

努力をする時、あらかじめ努力する部分を決めてから努力したほうがいい。「努力する部分」は「ここなら勝っている」という箇所。まずは、そこを見つけるところから始める。

 

マイナスをデザインする

10人が10人「素晴らしい」と言ってしまうような企画であれば、議論は起こらず、早めに収束し、大きな運動にならない。物事を効率良く拡散させるには議論を生むことが必要で、反対意見が必要だ。そこで仕上げに、反対意見を生む「マズ味調味料」をふりかけてやることが大切だ。

お客さんの胸を躍らすために大切なのは、プラスを追い求めることはもちろんのこと、それだけでなく「マイナスをデザインすること」が鍵になってくる。ディズニーランドの入場ゲートが良い例。超並ぶストレスがあることで、ようやく入れた時の解放感が生まれる。次世代のエンタメの形は「その先の解放をキチンと準備してあげた上で、お客さんに苦労させる外枠を作ること」である。