ひねり出す力 “たぶん”役立つサラリーマンLIFE! 術

発刊
2016年7月26日
ページ数
208ページ
読了目安
245分
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コント作品を5000本以上書いてきた放送作家のアイデアの生み出し方
コント一筋28年。『サラリーマンNEO』『LIFE! ~人生に捧げるコント』など、これまでコント作品を5000本以上書いてきた放送作家が、アイデアを生み出すための仕事術を紹介している一冊。

アイデアはひねり出すもの

「コントを作る時、どうやってアイデアを思いつくんですか?」と必ず質問される。正直に答えるならば「自分でもわからない」ということ。

「アイデアが出てこなかったことはないんですか?」という質問も同じくらい聞かれる。決まって答えるのは「正直に言って、アイデアが出なかったことはありません。スランプに陥ったことは一度もありません」ということ。

「アイデアが出なかったことが一度もない」とは、アイデアが出ないなんてことが許されないということである。放送作家は基本的にフリーで仕事をしており、何の保障もなく、代わりはいくらでもいる。だから、アイデアが出ないという発想自体がなく、たとえ何があろうと出さなければならないものであり、スランプなどと悠長なことを言っている暇はない。

どうしてもアイデアが出ない場合は、考えて考えて考えて、そして「ひねり出す」のである。アイデアは、決して降りてこない。焦らず諦めずに向き合えば、何とかなる。

 

クリエイティブな仕事に必要なのは少しの「才能」と「人柄」

放送作家にとって、台本を書くという作業は孤独極まりないものだが、もう1つの仕事である構成会議というのは、同じ会議室に数人が集まり意見を交換し合う場である。

意見が全く違った場合は、自分の意見を相手に伝え、お互いの意見のどこが違うのかを明確にし、それを修正しながら、ゴールに向かって進めていく。その作業を進める上で大切なには、いかに相手を思いやれるか。番組作りは人と人との共同作業、コミュニケーションがスムーズにいかないといい仕事にはならない。礼を欠いたり、相手の意見に耳を傾けなかったり、思いやる心を持たなかったりするような人とは、また一緒に仕事をしようとは思えない。

 

自分だけの特徴を磨いて、相手に印象付ける

いくら作家向きの才能があったとしても、人間そんなに何でもできるものではない。放送作家の中にも、それぞれ得意不得意な分野があり、微妙に分化されている。クイズの問題だけを考えるクイズ作家という肩書きの人もいある。

何となく「あいつは、こういうのをやらせたら上手いな」という人のところに仕事は来る。大切なのは「こういうのをやらせたら上手い」というイメージを植え付けることである。フリーランスという大海原を沈まずに進んでいくには、自分だけの特徴的な船を持つことである。

 

きっとなんとかなると自己暗示をかける

コントを書く、つまり人を笑わせるものを作る、というのは冷静に考えると大それたことである。その作業はとても孤独感に満ちている。冒頭から細かく台本を書いていくが、進んでみないと行き着く先は、書く本人にもわかっていない。目的地がわからないまま進むことの不安はなんとも言えなくて、胃のあたりがゾワゾワッとなる。こうなると人間は何かに頼りたくなってくる。こう言う時に頼るのが「自信」である。しかも根拠の全く無い自信である。「俺はできる!」という思い込みが、唯一折れそうになる心を助けてくれるのである。

 

裏側を意識する

発想力を鍛えるには、物事を別の角度から見てみること。ただ、やみくもに別の角度から見てみようとしたところで、一向に見えてこない。別の角度から見るには、自分が書いた文章をさらに客観的に評する。これは紛れもなく別の角度となる。

よくやっているのが、裏側を意識するということ。表立って派手なことが行なわれているものの裏側に目を向けてみると、本質が見えてくる。どんなことにも裏方は存在する。夜の校舎の窓ガラスを壊して回っても、その翌朝、必ずそれを片付ける大人たちがいる。そして、この裏側にいる人々は、コントでは確実に主役になりうる存在である。