Q思考――シンプルな問いで本質をつかむ思考法

発刊
2016年6月24日
ページ数
384ページ
読了目安
481分
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新しい発想を生み出すシンプルな思考法
答えが簡単に手に入る時代には、優れた「問い」こそが重要である。多くのイノベーションは優れた「問い」から始まったとし、効果的な問いを生み出すための方法を紹介している一冊。

優れたリーダーは問い続ける

成功しているビジネスリーダーの多くは、専門家と言えるほどの卓越した質問家である。彼らは当たり前のように業界の既成概念、自社の習慣、さらには自分自身が定めた前提条件の有効性にさえ疑問を抱く。そして、その疑問、質問が会社に活力を与える。

人間の脳は「心理的な負荷」を減らすため、どんな時でも自分の周りで起きていることの多くについて、疑問を抱かずに受け入れる。事なかれ主義で生きていると、精神的なエネルギーを節約でき、同時に複数のことに取り組むことができ、日々の単調な仕事を乗り越えられる。ところが、日常生活を改善し、変化を引き起こそうとすると、慣れ親しんだ思考パターンや安易な前提条件から抜け出すことが必要になる。そして、多くの場合、私たちは「疑問/質問」によってその一歩を踏み出す。

今日のように変化の激しい時代には、事なかれ主義よりも、周りに問いを発しようと身構える時間を増やさなければならない。

 

他の誰よりも早く「問題」を発見せよ

私たちは、仕事や家族関係、地域社会の抱えている問題など、変化や改善が必要だと思える様々なことについて「なぜ?」と問いかけるべきである。質問家は、折に触れて自分から「なぜ?」という問いを探しに行く。他の人よりも早く問題を「発見」し、その問題に関する疑問や質問にうまく答えられれば、新しい事業、新しいキャリアを生み出すことができる。これは人生にも当てはまる。

 

問い+行動が結果を生む

単に「なぜ?」と問うだけで何も行動しなければ、思考や会話を刺激するきっかけにはなるかもしれないが、イノベーションにまでは至らない。基本の公式は「Q(問い)ーA(アクション)=I(イノベーション)」だ。質問家が問題に対処するのには、1つのパターンがある。

・主人公が理想とはほど遠い状況に遭遇し「なぜ?」と問う
・改善策/解決策のアイデアを思いつき始める。
多くの場合、それは「もし〜だったら?」という仮説の形で現れる
・主人公はそれらの可能性の1つに注目し、それを現実に移そうとする
多くの場合、この段階には「どうすれば?」を見つけ出すプロセスが入る

 

Q思考の3ステップ

①「なぜ?」
「なぜ?」という質問が上手になりたければ、好奇心の強い子供のように世の中を見られるよう、自分の視点を調整することだ。必要な条件は次のことが必要である。

・一歩後ろに下がる
・他の人が何を見失っているのかに気をつける
・前提条件を疑ってかかる
・前後関係をよく見極めながら、足元の条件や問題の理解を深める
・今抱いている疑問を疑う
・特定の疑問や質問については自分が主導権を握る

全ては一歩下がることから始まる。そのためには、一時的には、新たな問いを発するために「している」ことをやめ、「知っている」状態を中断しなければならない。
偉大な質問家は状況や問題、周りにいる人々の仕草や自分の行動を「見続けて」いる。そして些細なことを研究する。そこに「ある」ものだけでなく「ない」ものも探す。

②「もし〜だったら?」
「もし〜だったら?」の段階では、実際的なことは考えずに、あらゆる疑問を浮かべていい。「どうすれば?」という現実的な段階に入ると、思いついた可能性の多くは生き残らない。「もし〜だったら?」の問いに結びつくようなひらめきの瞬間は、様々なアイデアやそれのもたらす結果を組み合わせたり、通常では調和しないようなもの同士を何度も混ぜ合わせたりする能力を必要とすることが多い。

③「どうすれば?」
拡散的な、何でもありの考え方を実行可能な分野の周辺に収束するために「どうすれば?」の質問をする必要がある。1つのアイデアに取り組む段階に入ると、フィードバックを得るために、それを他の人とシェアすることが重要である。