大事なのは物の見方と考え方
ニトリの創業は、30坪の店で1階が家具売場、2階が住居という個人商店だった。商売を始めたのは、ただ「なんとか食べていければ」という考えから。家具屋にしたのは、近所に他に家具屋がなかったからである。
けれども全然売上が上がらずに赤字続きだった。対人恐怖症で、接客が全くできなかったのである。いつ倒産するか時間の問題という状態だった家具店は、それから30数年後の2003年には、100店舗、売上高1000億円、利益100億円にまで成長する。
「勉強ができないから、成功もできない」と思うのは間違っている。大事なのは物の見方、考え方である。考え方を変えることで人生を変えていける。
ニトリ成功の5原則
①ロマン(志)ロマンを抱くとは「人のため、世のため、人生をかけて貢献したい」という気持ちを持つことである。
それまで人生の目的を何も持たず、行き当たりばったりのその日暮らしだった考え方が根本から切り替わったのが27歳の時。店の経営がうまくいかず、借金を抱えて、鬱状態になっていた時に、家具業界関係者によるアメリカ視察旅行に参加したのがきっかけだった。アメリカの方が日本より所得が高い上に、モノの値段がはるかに安かった。家具の値段は日本の1/3で家具を含めた内装がトータルでコーディネイトされているのが驚きだった。「日本人の暮らしをアメリカのように豊かにしたい」と考え、人生観が変わった。そこからニトリの快進撃が始まった。
②ビジョン(中長期計画)
ビジョンとは、20年以上先に達成すべき、長期の目標である。目標とする数字とそれを達成するまでの期限を入れた、具体的な数値目標を言う。それは、達成不可能とも思えるほど大きな数字でなければならない。ビジョンを持つことで、それだけでは漠然としていたロマンが形を持ってくる。
当時の日本では、家具に限らず小売店は小規模な個人商店ばかりだった。購買力がないので、メーカーや問屋に価格を決められ、独自に商品の企画を作ることもできなかった。そこでアメリカから戻り、30年で達成すべき目標を立てた。
③意欲
意欲とは「できそうもないことに挑戦すること」である。ロマンとビジョンの追求には、必ずリスクが伴う。失敗を恐れず、リスクを取って挑戦しなければ、ビジョンは実現できない。挑戦とは、できそうなことをやるのではなく、できそうもないことをやってみることである。ビジョン達成に向けて恐れずに挑戦していく気持ちが意欲ということになる。
④執念
執念とは「目標を達成するまで諦めないこと」である。目標を達成するまでには、たくさんの失敗がある。なんとしても達成したい大きなビジョンがあるから、目の前の失敗にもへこたれず、「何か方法があるはずだ」と追求し続けられる。
⑤好奇心
好奇心とは「常に新しいものを発見しようとすること」である。ビジョンで掲げた数字は、これまで通りのことをしていてはとても達成できない、高い目標である。それを達成しようと思ったら、今までとは違うやり方が必要になってくる。だから、あらゆる情報を採り入れ、新しいアイデアを生み出し続けないといけない。
発見や発明は、ビジョン達成の前に立ちはだかる問題や課題を考え続けることから生まれてくる。変化に対して前向きであること。変化はチャンスと捉えなければならない。