世界のグローバルリーダーが使いこなす 交渉の秘訣

発刊
2020年12月24日
ページ数
256ページ
読了目安
278分
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推薦者

すぐに使える典型的な13の交渉術
欧米人がよく使う13の交渉術が紹介されている本。交渉術の基本的な仕組みや事例などをもとに、相手から交渉を仕掛けられても動じずに対応するための基本的な対処法が身につきます。また、日本人が使いやすい交渉術も掲載されており、実践的な交渉術を学べます。

BATNA 〜最良の代替案を用意する交渉術〜

交渉が成立しない場合に備えて、最良の代替案を考えておく。欧米では、交渉の前に必ずと言っていいほど、いくつかのパターンを想定したシュミレーションを実施する。その際、ロジックツリーを使って「A案がうまくいった場合はこう対応」、「当初のプランがうまくいかなかった場合はB案」、「それでもうまくいかない場合はC案に移る」など事前に具体的な対策を想定しておく。この時、事前に用意しておく「別の手段」こそがBATNA(Best Alternative To Negotiated Agreement)と呼ばれる交渉術である。

 

BATNAを理解するのに欠かせないキーワードが「ZOPA(Zone of Possible Agreement)」。交渉が妥結する可能性のある範囲のこと。自分と相手のBATNAが重なっている部分がZOPAである。ZOPAの範囲が広いほど交渉の幅が利くし、相手のBATNAを把握していることで最大限に有利な条件で交渉を決めることができる。

 

交渉の時には、「別の手段」があることを強気に念押しする勇気を持つことが大切である。この場合、基本的に事前に用意している「別の手段」を正直に、具体的に明かすことを避けること。「別の手段」を明かしてしまうと、実際はもっと最善の策があるのに、最低限の代替しか示してもらえない可能性が出てくる。
相手がBATNAの正当性を主張し、何度か圧力をかけてくることがあっても、簡単にその要求をのんではいけない。交渉の最中に相手のBATNAを探り、なるべくZOPAの範囲内で自分に有利な条件に近づくように妥結点を探る。

 

Snow Job 〜口車に乗せる交渉術〜

とにかく混乱させ、注意をそらすことを目的とした交渉。具体的には、多くの情報を与え、その事実や数字で相手を圧倒する。多くの情報やそれらしい事実や数字以外に、専門用語を多用することで「もっともらしさ」を主張してくることもある。

 

欧米でよく使われる交渉トップ3に入る戦術の1つで、仕掛けられる場面に遭遇することが多いかもしれない。Snow Jobの終盤で、本当に大事なことが何で、気をそらすためのダミーの情報は何かをきちんと見分けておかなければならない。仕掛けられたら、大量の情報や難しくて理解できない用語・数字に惑わされないで冷静に聞き流すことである。そして、その中で本当に大事な情報は何なのかをしっかり見極めることである。「それで結局、何をおっしゃりたいのですか?」とあえて一貫して詳細を聞き返すのも良い。「理解していないことには同意しない」ことが基本である。

 

Highball/Lowball 〜高めのボールと低めのボールの投げ合いの交渉術〜

Highball/Lowballは、アメリカ人が最もよく使う交渉で、特に値段交渉の場でよく使われる。「高めのボール」と「低めのボール」を投げ合う交渉で、少しでも高く売りたい売り手が「高い」金額を提示し、少しでも安く買いたい買い手が「低い」金額を提示する。

 

公証人が最初に大きな数字(金額)を提示すると、それを基準として相手はフレーミング(枠づけ)されるので、その後に提示した数字が最初の数字に引きずられて受け入れやすくなる。遠慮して譲歩してしまうと一気に劣勢になってしまうので、初志貫徹したマインドが大事である。また、定価で仕事をしているのは日本ぐらいのものだという認識が大切である。

明らかに法外な値段で交渉を仕掛けてくるので、まず動揺しないこと。対処するには、相手が「まともな提示」をするまでひたすら拒否を続けること。もしくは、法外なHighballに対しては、さらに法外なLowballを投げ続けることである。

 

Bogey 〜お化けの交渉術〜

本来重要でないことを重要であるかのように見せかけることで、本来の目的を果たす交渉術。価格交渉の場で使われることが多い。

Bogeyを仕掛けられたら「おとり」が何かを見抜いて、かわせるようになれば十分。この戦術は、交渉の終盤に仕掛けることが通常なので、相手の態度が交渉の終盤に突然変わる、話題が突然切り替わるということがあれば、Bogeyを疑う。仕掛けられたと思ったら、「質問すること」が最も効果的な対処法である。その特定の問題が「なぜそれほど重要」で、「なぜそんなにも早く心変わりしたのか」などを聞く必要がある。

参考文献・紹介書籍