悪いヤツほど出世する

発刊
2016年6月23日
ページ数
272ページ
読了目安
321分
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出世するために本当に必要なこと
理想的なリーダー像が描かれ、その教えが語られることが多い中で、現実のリーダーとは自己利益を追求する者がほとんどであると説く。理想を離れ、現実と向き合うことの必要性が説かれている一冊。

リーダーシップが向上しない理由

リーダーシップを通じて集団や組織のパフォーマンスを向上させるための様々な処方箋が提案されている。リーダーは信頼を得よ、最後に頼れる人であれ、真実を語れ、人に尽くせ、控えめであれ、思いやりと理解と共感を示せ、等々である。どれも大変結構だが、効果のほどは疑わしい。リーダーシップ教育の数々のプログラムは、世間が思う以上に無益であり、むしろ有害である。

そもそも、リーダーシップが向上しない原因は、リーダー個人と会社の利益が一致しないからである。リーダーには、自己の利益を確保するために他人に強権を振るう誘惑がつきまとう。そしてリーダーは大体において、自分のキャリア形成と自己の利益を優先するものである。

組織の利益とリーダーの利益は一致することがリーダーシップという理念の大前提になっており、多くの人がそう信じている。だがそういうケースは滅多にない。高い報酬、高い地位にのぼりつめることこそが、リーダーにとって嬉しいはずだが、そうしたものは一切語られない。このことが、良きリーダーのためのプログラムや助言が現実の世界でほとんど効き目がない1つの理由である。

 

ナルシスト型こそ出世する

多くのリーダーや専門家は、控えめであれ、謙虚であれと説く。謙虚な人間は信頼され、部下は一丸となって目標達成に取り組むというのである。しかし、「謙虚であれ」という教えには重大な問題点がある。第一に謙虚な人は少ないし、ことリーダーに関する限り極めて少ない。そして、出世の階段を上がる時に謙虚さが役に立つとは思えない。

先駆的なイノベーションをもたらす人間には、制約や既成概念に対する軽蔑、逆境や拒絶反応に立ち向かう意志の強さが欠かせない。これらは自己中心的なナルシストに特徴な資質である。ナルシシズム、自己宣伝、自己顕示欲、根拠のない自信といったものは謙虚とは正反対であるが出世の階段を上がる時に役に立つ。そして一旦トップの座に就いてしまったら、今度はその座を維持するのにも、より多くのリソースを獲得するのにも、効力を発揮する。

記憶に残らないような人間は、リーダーには絶対に選ばれない。自分を売り込むには、謙虚さをかなぐり捨てて、自分の能力や過去の業績や未来の計画に人々を注目させ、自分はその地位にもその報酬にもふさわしい人間だと思わせなければならない。

 

嘘をついて損することはめったにない

リーダーは正直で公明正大でなければならないとされている。リーダーは嘘をついてはならない、なぜならリーダーが嘘をつけば、部下も上司も同僚もリーダーを信じられなくなる。そして信頼がリーダーシップの重要な要素であることは言うまでもない。

だが現実には、嘘は信じられないほど多い。リーダーがたびたび嘘をつくのは、めったに罰せられないからである。リーダーは自信を持って嘘をつくし、たとえ露見しても自信を持って釈明する。なぜなら、権力を持つと全てが思い通りになると錯覚し、その錯覚によって確信犯的に最もらしい話を作れるようになるからである。つまり、権力を持った人間ほど嘘が通りやすくなるのである。巧みに嘘をつく能力は仕事で成功する上で欠かせないと指摘する専門家もいる。出世に嘘はつきものなのである。権力と嘘は持ちつ持たれつの関係にある。権力を持つ人ほど嘘が容易になるし、巧みに嘘で切り抜ける人ほど権力を持つようになる。

 

リーダーは我が身第一が普通

組織を成功に導くためにはまず部下を大切にせよという考え方が広まっている。リーダーシップは、必然的に信頼、思いやり、権限委譲などを特徴とする。部下を信頼して仕事を任せれば、部下の学習や成長を助けるとともに、誇りや自信をつけさせることにもつながる。

これは倫理的には正しい。だが、こうしたリーダーはさほど多くないのは確実である。地位が高い人間はその権力を自分の雇用や報酬や特権を守ろうとするのが普通だ。