スタンフォード大学名誉学長が教える 本物のリーダーが大切にすること

発刊
2020年11月18日
ページ数
296ページ
読了目安
334分
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リーダーシップの本質とは何か
スタンフォード大学の元学長で、現在グーグルの親会社アルファベットの会長を務める著者が、リーダーシップの本質とは何かを紹介している一冊。組織やチームを率いて、成果を出すためには多くの人たちを動かさなければならない。リーダーが成功するための必須条件が書かれています。

リーダーシップの基本「謙虚さ」

真の自信は、自負心から出てくるのではなく、謙虚さから生まれる。傲慢だと、自分たちの強みにしか目がいかず、そのため弱みを無視し、周りの人間の強みも見過ごして、ひいては致命的な間違いをおかすリスクに自分たちをさらしてしまう。謙虚さがあれば、自分たちの弱みがどこにあるのかがわかり、だからこそそれを補完できる。実は、謙虚さによって自信を獲得できるのだ。

 

謙虚さを育てるには2つの考え方が役に立つ。1つは、だいたい成功というものは運次第と知ること。もう1つはアカデミックなコミュニティの一員であること。大抵、大学内ではほぼあらゆる分野について自分よりも知識を持っている人物がいる。つまり、自分が最も聡明な人間であるはずはない。リーダーとなって取り組むことの成功は、チーム全体の力にかかっている。成功するためには、彼らの専門知識や助けが必要で、まずは自分が物知らずだと認め、チームのメンバーの知識から学び、彼らのサポートを求めるのが一番だ。

 

謙虚さをもって人を率いるというのは、周りの人間があなたの業績を我がものにするようなことである。なぜならば、あなたにはそうする必要がないからだ。また、自分の理解が正しくないかもしれないと認めることであり、援助が必要だと進んで助けを求めることであり、間違いから学ぶ機会を捉えることであり、挑戦的で自分を成長させてくれる瞬間に向き合うことである。謙虚であり、かつ野心的である唯一の方法は、他者の利益のために野心を燃やすことかもしれない。

 

リーダーシップに欠かせない本質的な要素「真正さ」

大人に取って実践が難しいのが「真正」であることだ。これは、正直に話すこと、そして自分だけでなく他者やコミュニティ、人類すべての本来のあり方を実践することである。真正さとは、繊細で多元的な性質を備えていて、信頼を築くのに、ひいてはリーダーシップとして成功するためになくてはならないものである。

真正さを体現するには、ちゃんとした所に足を下ろし、そこにしっかりと立つことだ。真正さを深く求める実践の歩みを始めるには、自分がこうなりたいという善なるものの真の特徴を見極め、それを習得するために努力しなければならない。

なりたい自分とは実践によって実現される。自分が敬服する美徳を定義し、それを習得するよう励み、その途上を慎ましく歩むことだ。

 

自分自身と真正なつながりを持つことが重要なのは、リーダーとして皆に特定の方向を目指す自分についてくるよう伝えなければならない時が、いずれやってくるからだ。その方向性は、明らかに組織をより良き大きな目的に向かわせることができても、各人の目標や計画の理想には合致していないかもしれない。もし、皆があなたのことを信頼しておらず、心から彼らや大きなコミュニティのためになることをやっていると信じてもらえないならば、彼らはついて来ないだろう。

 

奉仕としてのリーダーシップ

権力と権威を備えた地位にいる多くの人々にとって、一番難しい学びは「リーダーシップとは奉仕である」ということだ。それが難しいのは、リーダーになるとあらゆる側面がそれとは反対のことを示すためだ。率いる相手よりも報酬は多く、チームよりも権威があり、意思決定では優先され、部下は究極的には「彼らのリーダー」に懸命に仕えている。

そうした状況の中で、リーダーである「あなた」は「彼ら」に仕えているのだと覚えておくのは難しい。困難な仕事を担っているのは彼らで、リーダーの仕事は、彼らが最大限効果的で生産的になるように支援することだ。そう考えられるようになるために、組織図を頭の中で逆さにし、あなたがいるピラミッドの頂上を底辺に持ってきて、皆を支えるようにしなければならない。サーバント・リーダーであることを受け入れ、実践できないのならば、組織をうまく率いていくことはできない。

参考文献・紹介書籍