2052 ~今後40年のグローバル予測

発刊
2013年1月9日
ページ数
512ページ
読了目安
972分
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最も実現確率の高い近未来
経済、環境、エネルギーなど30以上の分野にわたる世界のキーパーソンの観測を踏まえて、今後の40年間のグローバル予測をまとめた本。
気候問題への戦略やシナリオ分析を専門とするノルウェーの学者が2052年の未来を描き、人類への警鐘を鳴らしています。

世界経済の成長は止まる

世界の総人口は、増加した後に減少する。2040年に約81億人で頭打ちとなり、2052年には現在の水準にまで下がる。また、過去40年間の特徴であった労働生産性の減速傾向は続く。そして、2052年には世界経済の成長は止まる。それは、石油や他の資源が不足するからでなく、人口と生産性の伸びが減速するからだ。さらに資源の枯渇が、生産性向上の減速に拍車をかける。

大量の化石燃料は手つかずのまま地中に残される。化石燃料の時代が終わるのは、単に人間がそれを必要としなくなったからだ。エネルギー使用量は予想されたほど伸びない。それは経済が予想されたほど拡大しないからだ。資源を効率的に使うようになるので、エネルギー使用量が減る。中でも化石エネルギーの消費は、価格面で並ぶようになった再生可能エネルギーへとシフトするため、予想されたほどには伸びない。しかし、再生可能エネルギーへの移行には時間がかかるので、結局、危険な温暖化を避ける事はできず、私達はそれがもたらすダメージと共に生きていかなければならない。

地球温暖化が深刻なダメージを与える

資源枯渇、環境汚染、気候変動、生態系の破壊に起因する問題に対処するために、より多くの資金が、修復、適応、新技術の開発に投じられる。これらの投資は被害を軽減し、生産性の低下を遅らせ、世界全体のGDPを押し上げる。しかし、投資に資金が回る分、消費は増えない。消費の伸びが鈍ると社会の緊張と不和が悪化し、生産性の向上がさらに鈍化する。切り分けるパイが小さくなるからだ。

もっとも、世界経済が2052年には大幅に縮小するという「事実」には、人類が地球の限界と衝突する時の衝撃が和らぐという利点もある。だからと言って大きなダメージがないという訳ではない。異常気象、海面上昇、洪水、干ばつは、数々の問題を次世代にもたらす。世界の気温は期間全体を通じて上昇し、工業化前からの上昇幅は2050年には2度になる。

1人当たりのGDPは増え続ける。しかし、2015年以降、環境対応への投資負担により、1人当たりGDPの成長は2050年頃ストップし、その後、減少していく。

食料生産は2040年頃、ピークになる。気候変動のせいで、農業に適した場所が減り始めるからだ。同時に気温上昇の悪影響が、収穫量の増加を鈍らせる。年間の食料生産量は、2040年に現在より60%近く増えたところで頭打ちとなる。しかし、1人当たりの食料は、2010年に比べて30%強しか増加しない。つまり、多くの人は依然として飢餓に苦しめられているのだ。

喜ばしいニュースは、今後40年間に生活レベルの劇的な低下は起こらないということだ。富裕国の中には1人当たりの消費が減少するところもあるが、経済が崩壊する訳ではない。

未来の地球にとって主な問題となるのは、私達が直面する問題をいかに解決するかという事ではなく、解決するための合意をいかに得るかという事にある。本当に難しいのは、大衆や資本家に短期的な利益を諦めさせて、この難題に取り組ませる事だ。

崖っぷちの状況

気候変動の自己増幅とは、現在の温暖化がさらなる温暖化を招き、その影響でますます温暖化が進むという、制御不能の悪循環が始まる事を言う。わかりやすい例は、ツンドラの南の縁が溶ける事で、強力な温室効果ガスであるメタンが放出されて気温が上昇し、さらにツンドラが溶けるというものだ。気候変動の自己増幅は、いったん始まると止めるのは不可能だという点で、他の問題とは性質が異なる。

2052年は、地球の平均気温の上昇が、危険な閾値であるプラス2度を超えると見られる年である。21世紀後半に気候変動が自己増幅し始めるかどうかは人々の反応次第だ。しかし、私達は温室効果ガスの排出量を一向に減らせないせいで、気候変動は手に負えなくなる可能性が極めて高い。

2052年の未来

2052年、数十億の人は2012年より暮らし向きが良くなり、現在の欧米の生活水準に追いつく事ができる。しかし最も貧しい20億人は、現在の状況から抜け出せないままだろう。

物質的な生活水準を上げるには、大量のエネルギーが必要とされるため、今後も私達は、気候が耐え得る限度を超えて、化石燃料を燃やし続ける。この先の40年、地球の温暖化はさらに加速し、2052年には、気候変動の自己増幅がまさに始まろうとしているだろう。その頃、人間のエコロジカル・フットプリント(地球の環境収容力)を減らそうとする取り組みがようやく本格化する。これを支えるのが、気候変動による災害リスクを減らすため、国民の同意を得て国が行う投資である。それまで短期志向に支配され、すべてを先延ばしにしていた民主主義政権が、迅速で中央集権的な意思決定を真似るようになる。

2052年への道のりは平坦ではない。格差、緊張、社会の不和が広がっていく。社会の底辺では騒乱が続くだろう。その一方で、より地球全体の事を考えた持続可能価値を目指すパラダイムシフトが進んでいるだろう。しかし、気温は上昇し、生態系は破壊され、2052年の世界はその後の40年間のスタート地点としては、最善とは言いがたい状況にある。

主なメッセージ

・世界の総人口は、都市化が進み、出生率が急激に低下する事で、2040年直後に81億人でピークとなり、その後減少する。

・世界全体のGDPは人口増加率が鈍り、生産性が減少することで、2050年に現在の2.2倍にとどまる。

・経済の成熟、格差などによる社会紛争の激化、異常気象によるダメージを原因として、生産性向上のスピードは鈍化する。

・気候の問題は2052年までは壊滅的レベルには達しない。しかし、21世紀半ば以降、気候変動に歯止めが利かなくなり、人類は大いに苦しむ事になる。

・資本主義と民主主義は短期志向になりがちであるため、長期的な幸せを築くための合意がなかなか得られず、手遅れになる。

・敗者となるのは米国、勝者となるのは中国。BRICS等の新興大国は発展するが、残りの地域は貧しさから抜け出せない。