肝心なのは話の中身
話し方で肝心なのはテクニックではなく、第一に「話の中身」である。話し方の本質は「どう話すか」ではなく「何を伝えるか」にある。多少話術が劣っていたとしても、その人の話の中身が興味深ければ、相手は一生懸命に聞き取ろうとする。
話の中身を決める4要素
どう話を組み立てれば、自分の言いたいことが相手に伝わるようになるか。話の中身を決める際には、次の4要素を意識する。
①相手が知っている話
②相手が知らない話
③相手が関心のある話
④相手が関心のない話
最悪なのは「①相手が知っている話×④相手が関心のない話」の組み合わせでペラペラと喋ること。また、「①相手が知っている話×③相手が関心のある話」という組み合わせでも、相手は退屈する。一方「②相手が知らない話×④相手が関心のない話」の組み合わせは、貴重な情報を含んでいることがある。但し、相手が関心のない話を無理やり伝えようとしても、なかなか伝わらない。
最も効果的なのは「②相手が知らない話×③相手が関心のある話」という組み合わせである。但し、一方的に長々と喋ると、「いい話が聞けて良かった」とは思ってもらえないので難しい。
相手が知らない話は4割にとどめる
「②相手が知らない話×③相手が関心のある話」をベースに効果的に話す秘訣は何か。丹精を込めたご馳走のような話は、全体の4割までにとどめることである。残りの6割は「①相手が知っている話×③相手が関心のある話」をあえて話す。この配分によって相手は「今日はいい話が聞けて良かった」と満足する。
人はいくら関心のある話でも、知らない内容が4割以上含まれていると拒絶反応を引き起こす。人間は本能的に、一度に多くの新規情報に接すると警戒心を抱くようにできているのだろう。さらに知らない話を理解するには、かなり集中力が求められるが、集中力はそんなに長続きしない。
相手が何に関心を持っているのかを探る
あらゆる人にとって面白い話、ためになる話は存在しない。人によって関心があることには違いがある。そうなると、相手が知らない話を4割、相手が知っている話を6割という黄金比の中身は、相手に応じて毎回変えなくてはならない。
そのためには、本題に入る前の雑談などで相手の関心や興味が今どのあたりにあるのか、理解度は以前とどう変わってきているのかを、相手の話を聞きながら見極めるのだ。話を聞きながら得た感触をもとに、毎回4対6の黄金比の中身を柔軟に変える作業が欠かせない。
結局、教養が必要
伝え方の良し悪しを決定的に左右するのは、話し手の教養の深さである。話し上手になるには、結局、教養の蓄積が求められる。その教養を得るのが学び。学びにおいては読書と人の話を聞くことが重要である。