雑談力

発刊
2016年10月15日
ページ数
232ページ
読了目安
242分
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ベストセラー作家の雑談術
『永遠の0』『海賊とよばれた男』などの作品で知られるベストセラー作家が、面白い話をするための技術を紹介している一冊。雑談をする時の心構えが書かれています。

話も起承転結が基本

話すというのは、書くよりもはるかに難しい技術である。筋道のある長い話をする場合、初めから頭の中に構成ができていなければ無理である。あるいは話しながら構成を作っていく能力が必要である。起承転結を考えて、なおかつ盛り上げにも留意して、最後のオチも決めるというのを即興でやるのがトークである。

人が注目して聞く話を5分以上するというのは、話術に加えて構成能力が不可欠である。構成力は、その話を1つの「物語」として組み立てる力である。「起承転結」は小説や映画の基本だが、話も同じである。面白い雑談も基本的にはこの構成になっている。

つかみが大事

番組で一番大事なのは「つかみ」である。ここで視聴者の気持ちをぐっと掴むことに失敗すると、番組全体の視聴率もあまり高い数字は望めない。これは「話」にも通じる。大切なのは話のきっかけである。最初の一言で、周囲の人に「おっ、その話を聞いてみたいな」と思わせることができるかどうかである。

①質問から入る
人の興味を惹く方法の1つに、質問から入るという方法がある。人間というものは何かを訊かれると、それに答えようとする性質がある。そしてその答えがわからなければ、知りたいという興味が湧く。但し、普段全然関心のないものや、身近でないものはダメである。いつもは何気なく使っている言葉や、知っていると思っていることが、実は全然知らないものであったということに、小さなショックを受け、同時に関心が一気に高まる。

②常識を揺さぶるような話から入る
人は自分の思っている常識を揺さぶられると動揺する。すると、その動揺を抑えるために、納得のいく説明を聞きたいと思う。人に「えっ」と思わせることができれば、導入はほぼ成功である。あとはその興味をそらさないように話を展開していけば盛り上がる。

単純なウンチクはしない

「AはBだった」みたいなウンチクは、聞いた時はふーんと思うが、話はそれ以上に広がらないし、しばらくすると忘れる。人に聞かせる話をしようと思えば、一言で片付いてしまうウンチクの情報をいくら仕入れても無意味である。そこに色々とエピソードを加えて膨らませてこそ、聞いて楽しめる話になる。

自分が関心を持つ話題を聞く方の身になって話す

雑談について、多くの人が勘違いをしているのは「相手が興味を持ちそうな話をすればいい」と思っていること。これは全然違う。本当に面白い話は「話し手が一番興味のある話題」である。自分が夢中になった話は、他人も面白がるものである。それに自分が面白がらなければ、他人だって面白がって聞いてくれない。

マニアックな話であっても構わない。むしろマニアックな話題というのは多くの人が普段あまり聞くことのない話だけに、逆に興味を持って聞いてもらえる可能性が高い。ここで大切なことは、その個人的な興味の話を「いかに面白く話せるか」である。つまり、自分の話したいことを、聞く方の身になって話すことが重要である。

一番大切なことは「人を楽しませたい」という気持ち

一番大切なことは、テクニックではなく「人を楽しませたい」という気持ちである。その気持ちがなければ、面白い話などできない。話し好きの人の中には、自分の話しかしない人もいる。そういう人は、「人を楽しませたい」という気持ちはほとんどない。ただ、自分の話を人に聞いてもらいたいだけである。当然、そういう話は聞いていて全然面白くない。