ハーバード集中力革命

発刊
2016年10月24日
ページ数
357ページ
読了目安
447分
推薦ポイント 2P
Amazonで購入する

Amazonで購入する

集中力を取り戻すための処方箋
集中力の低下の原因を紹介し、それを改善するための方法を提案する一冊。ハーバード大学医学部で長年講師として勤めた精神科医が、集中力を取り戻すために書いた処方箋。

外部要因が集中力を阻害する

ADD(注意欠陥障害)やADHD(注意欠陥・多動性障害)といった障害が遺伝的な原因によるのに対して、ADT(注意欠陥特性)は環境が原因である。すなわち、ADTは外部要因によって現れたり消えたりするものだ。
ADTは人が生活の中のストレスに対処しようとして生じるものであり、その兆候は短期的にはむしろ助けとなるため、場合によってはその状態が「定着」し、生活に余裕ができたりストレスが軽くなったりした後も習慣として固定化してしまうことがある。

ADTは私たちの集中力を乗っ取るような、絶え間ない要求や誘惑、出来事によって引き起こされ、私たちの頭を耳障りな騒音でいっぱいにする。ADTの兆候は、最初は目立たず、次第にひどくなる。

集中力を奪うADTの6つのタイプ

①デジタル依存症
「オンラインでいたい」という強迫観念が強まるあまり、他の何においても集中力を失ってしまう状態は、今日において急速に増えている。私達は常に「チャンス」を探している。ギャンブラーのように、画面というサイコロの次の目に何が出るかを見たくてたまらないから、電子機器の画面から離れられないのだ。

②マルチタスク
注意の先が話題から話題へ、妨害から妨害へ、邪魔から邪魔へと移り変わり、ひとところに数秒程度しか止まらない。邪魔されることに慣れてしまい、1つの物事や1人の相手に長時間集中することができなくなる。

③アイデアホッピング
ほとんどの人は、あるアイデアを実現させるために必要な仕事に取りかかっている間、別の計画に移ることがない。ところが、チャンスにしか注意が向かない人は、無限の可能性への絶望(可能性があったけれども実現しなかったと知ること)にとらわれてしまう。

④心配性
私達は心配と不安の時代に生きている。そして、悪いニュースがあっという間に伝播することで、その不安は増幅される。心配性の人は心配に集中することによって集中力を削がれている。

⑤おせっかい焼き
利己的な目標と利他的な目標を選ぶ能力があるにもかかわらず、多くの人間は遺伝的に「自分自身の必要」よりも「他人の必要」に注目するようになっている。生来の利他主義と他人への同情が止められない性質のために、集中力を失ってしまった人々は大勢存在する。

⑥ヘマばかり
ADHDは認識されている以上に成人に一般的である。ADHDの人達が自分の妨害をしてしまうのは、意識下の対立のせいではなく、脳に組み込まれている神経回路のせいだ。

集中力をコントロールするための5つの基本プラン

①エネルギー
脳へのエネルギー供給を監視する手間をかけることは、基本かつ必須の要素である。上手なエネルギー管理のためには、睡眠、栄養摂取、運動、瞑想、刺激、つながり(人との肯定的な接触)の項目を実践する。

②感情
感情的な状態こそが、集中力の質につながり、成果につながる。信頼が置け、かつ、懸念の少ない環境で働くこと、自分の最高の能力を発揮できる立場で働くこと、そして、自分をカッとさせる「発火ボタン」や自分の感情的な弱点を知り、上手に管理する方法を学ぶことが大切だ。

③エンゲージメント
高い集中力を発揮するためには対象への興味とやる気を持っていなければならない。

④仕組み
仕組みは自分に嫌々ながらやらせることではなく、自ら進んですることの枠組みになる。

⑤コントロール
大抵の人は、自分の時間の使い方について必要以下のコントロールしか発揮していない。だからそのコントロールを取り戻す必要がある。