新興国ビジネスを成功へと導く12のポイント
①現地社会と利害を共有できる、インサイダー化を目指すその国への投資が単に輸出拠点問いう視点だけでは、現地に根を張った市民権ある安定的な事業運営はできない。大切なのは現地社会から「徳のある企業」として評価を得られるように努力することだ。雇用の確保、技術移転、新商品の導入、地産地消、現地化への推進、社会貢献活動など。そして、現地社会に興味を持ち、好きになることだ。
②ビジネスだけにとどまらない、真のパートナーシップを築く
新興国の事業体は合弁方式が多い。トヨタの場合、生産事業体はトヨタが多数資本、販売事業体は現地パートナーが多数資本というのが一般的。そして出資比率以上に重要なことはパートナーとの信頼関係だ。合弁企業の発展、取引の拡大、産業の育成など、それぞれのパートナーとの目標が共有化されれば、双方の役割は異なるものの効果的な連携プレーができる。
③現地人材の育成とオペレーションの自立化で立派な土台を作る
問題となるのが日本と現地の役割分担、決裁権限の明確化。現地の人間にわかりやすい透明性のあるルール作りを心がけなければならない。
④変化が激しい新興国では、想定外が日常と心得る
新興国ビジネスでは成長の中にも山谷があると理解し、流れの中で市場をつかむ視点が大切。現地現物、現地目線で実態を把握するとともに、市場の動向を時系列で分析し、事業推進の舵取りをする必要がある。
⑤新興国では即断即決が肝要
新興国では、その前提自体が常に変化することが普通である。事前の検討よりもいかに早くその変化に対応するか、そのための考え方の選択肢を蓄えておくことが大切である。
⑥新興国での事業は本社トップの関心とサポート体制が重要
トップは己が任命した現地幹部が最も仕事を進めやすい環境を作ることが重要だ。新興国でのマネジメントは管理に走らず、現場に目標を明確に与えたら、あとは方法論を含めて信じて任せることだ。
⑦新興国に拮抗しうる異端児であれ
小さな市場を担当している者は、機会があるごとにその市場の特性を説明するように心がけるべきだ。その情報が提起されない限り組織の中にインプットされることはない。異端児であることを恐れずに事実を堂々と主張する気概が必要である。
⑧世代ごとに、地域や個別領域の専門家を育てておく
新興国の事業はマニュアル化が難しいため先輩の助言や知見をノウハウとして継承できるようにしておくことが重要である。
⑨プロセスを共有することで真のコミュニケーションを図る
大切なのは、関係する会議に共に参加し、結論に至るまでのプロセスを共有させることだ。共に悩み、共に行動することが真のコミュニケーションと言える。その中から仲間意識が芽生え、良いチームワークが出来上がる。
⑩ビジネス上の交渉に勝ち負けはない
交渉ごとでは勝った負けたという判断よりも、双方のギャップを埋めるためにお互いがどこまで歩み寄ることができたかがポイント。「目的を明確にし、それに大義を持たせること」「あらかじめ相手の状況を把握し、幅を持った落とし所を決めておくこと」が原則だ。
⑪アフターサービスを含めたマーケティング体制が勝負の分かれ道
ユーザーと直接コンタクトする現場でのマーケティング力が販売実績に直結する。
⑫新興国への対応は、忍耐とぶれないビジョンが大切
どの新興国も変化は激しいが、その時々で市場性を決めつけることは得策ではない。目前の状況だけで判断することなく、想定される将来のビジョンに向けてぶれることのない忍耐力を持つことが大切だ。