「キャリア志向」から「ミッション志向」へ
自分が本当にやりたいこと、自分にとって大切なことから生まれる仕事を「ミッション」と呼んでいる。人生のミッションが見つかると、その仕事は、稼ぎを得るための「ライスワーク」ではなく、一生を賭ける「ライフワーク」になる。
スキルやキャリアばかりを追い求める仕事は、他の「誰か」や「何か」によって代替される可能性が常に潜んでいる。自分よりスキルの高い人はもとより、近年はAIやロボットの技術革新も著しい。
その点、ミッションを歩む人生は、他の誰にも何にも代替されることはない。自分にしか成しえないことであり、自分だけの道だ。自分のミッションを歩む人生には、苦しみも伴う。だが、自分のやりたいことが形になっていくのを見るのは、何にも代えがたい喜びがある。
人生における山か谷の体験がミッションを生む
自分のミッションを歩むために一番大切なことは、自分のミッションを明確に持っておくことだ。しかし、自分のミッションを明確に持っている人の方が圧倒的に少ない。
ミッションの種は、人生の「山」か「谷」かのどちらかにあることが多い。人生で最高に幸せだったと思える時間をもう一度味わいたいという強い思いは、その後の人生を駆け抜けていく大きな原動力になるし、人生でどん底の苦しみを味わった人は、その辛い思いを二度と体験したくないと思うはずだ。この人生の「山」や「谷」を味わった経験を「原体験」と名付けた。
「原体験」は、自分が何を大切にするか、という価値観の形成に大きく関わっている。自分のミッションを見つける第一歩は、自分の「原体験」を自覚することにある。
自分のミッションを見つけるための3つのステップ
①「感情曲線」で自分の人生の「原体験」を見出す自分の「原体験」を自覚するために、まず「感情曲線」を描く。横軸に年齢、縦軸に感情の大きさを設定し、人生における重要な出来事と、その時々の感情の大きさをプロットして線でつなぐ。この山と谷の振れ幅が大きい人ほど、ミッションを生きる原動力も強くなる傾向がある。企業を立ち上げるような人たちは、みな強烈な「原体験」と高い「熱量」を持っている。
②自分の「価値観」を2つのキーワードで表現する
なぜ「原体験」が、自分にとって重要な意味を持つのかを考える。そして、自分の人生で重要な「価値観」を2つのキーワードに落とし込む。
③「原体験」と「価値観」から「登るべき山」を見つける
「原体験」と「価値観」をもとに、自分が何を達成できると喜びを感じられるかを見極めていく。この時、取り組むべきテーマが見えてこない場合には、自分は誰の笑顔を見たいのかを考えてみるといい。そして、テーマを決める際には、少なくとも5年、10年は取り組み続けていけそうなものを選ぶ。
ミッションを磨き上げる方法
ミッションを自分なりに定めたら、とにかく大勢の人に自分のミッションを語ってみる。話している内に、自分でも気づいていなかった部分に気づいたりして、ミッションをブラッシュアップしていくことができる。
この時、自分のミッションをわかりやすく語ることができるようになれば、人の共感を集め、人に行動を促し、自分の人生に巻き込んでいくことができる。そのためには「My-Our-Now」というフレームワークが有効である。
①My:自分の「原体験」を語り、なぜ自分のミッションに挑むのかを伝える。
②Our:聞き手の視点に合わせて課題や価値観を共有する。この時、個人の目線からより高次元に目線を高めて考えることが大切である。
③Now:なぜ今やらなければならないかを明確に示す。