テクノロジー4.0 「つながり」から生まれる新しいビジネスモデル

発刊
2017年2月24日
ページ数
256ページ
読了目安
262分
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これからのビジネスに必要な視点
大前研一氏が、現在起きているテクノロジー革命について、その概要を紹介している一冊。Fintech、位置情報、IoTについての最近の事例を中心に大まかな話が書かれています。

テクノロジー4.0とは

Fintech、位置情報、IoTなど、インターネットの次に来る革命が、世間を賑わせている。IoTとは、あらゆるモノがインターネットにつながることである。車や家電など、あらゆるモノにセンサーが搭載され、インターネットにつながる。こうした現在のテクノロジーを「テクノロジー4.0」と呼ぶ人がいる。産業革命を皮切りに技術革新が進み、インターネット革命などを経て、4.0に至っている。

テクノロジー4.0が生み出した4つの要素

テクノロジー4.0が生み出す経済は「見えない大陸」で戦われ、築かれる。その見えない経済は4つの要素から成り立っている。

①リアル(実体)経済
従来通りの「リアル経済」である。

②ボーダレス経済
ヒト、モノ、カネが国境を越えて、経済を国の中に閉じ込めておけないようになったというのが、ボーダレス経済の考え方である。ボーダレス経済では、基本的に世界で最も安い所から材料を仕入れ、最も人件費が安い所で生産し、最も高く買ってくれるマーケットに売るという、世界規模での収益の最適化が実践される。

③インターネットによる見えない大陸
21世紀の経済はサイバー空間で営まれる経済であり、ほとんどの人には見えない。インターネットは単なるコミュニケーションの手段から、機械同士が話す、機械と人間が話すといったことが可能となり、Fintech、位置情報、IoTといったテクノロジーへと発展していく。この見えない経済大陸を制覇した人間だけが21世紀の覇者となる。21世紀の舞台は仮想空間である。杭を打って誰かの侵入を防ぐことなどもできない。

④マルチプル
テクノロジー4.0の機動力になっているのが「マルチプル」である。マルチプルとは、現在の株価が今年の収益の何倍なのかを示し、マーケットで企業の価値がいくらと見られているかを表す指標である。売上や収益が伸び、将来の企業価値は今より高くなるだろうとマーケットが評価すると株価が上がり、マルチプルの値も高くなる。マルチプルが重要なのは、マルチプルの高さを利用して、小さな会社でもより大きな会社を買収することができるからである。自社の成長に加えて、M&Aによってより大きく成長できる。

従来通りのリアル経済、ボーダレス経済、サイバー経済の中で、マルチプルという飛び道具を使って、見えない大陸=デジタルコンチネントを切り開いていく。そして従来型の企業を凌駕していく。それがテクノロジー4.0時代に成功するためのビジネスモデルである。

全体を俯瞰する視点を持て

これからのビジネスマンに必要なのは、テクノロジー自体の理解はもちろんのこと「それぞれのテクノロジーのつながりを俯瞰する視点」である。位置情報とIoTを組み合わせて新しいサービスを提供する、IoTをベースとしたサービスを利用する際にFintechによって生まれた決済方法を利用するなど、テクノロジーを組み合わせることで新しいビジネスモデルが誕生している。テクノロジーのつながりを俯瞰することで、ビジネスのアイデアが生まれやすくなる。