なぜ、あなたがリーダーなのか――本物は「自分らしさ」を武器にする

発刊
2017年1月31日
ページ数
352ページ
読了目安
490分
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本物のリーダーに求められるもの
フォロワーが、リーダーに求めるものは何か。本物のリーダーになるための必要な要素を提示し、リーダーシップを発揮するために大切なことを紹介している一冊。

優れたリーダーが求められる時代

多くの企業にとって、組織ミッションの明確化や、社員の帰属意識のてこ入れが喫緊の課題となってきている。その原因は、組織の団結力を維持していた様々な仕組みが弱体化してしまったことにある。かつての組織構造を特徴づけていた、綿密に設計された階層性、安定的なキャリアパス、明瞭だった組織の境界などは、いまや過去のものとなってしまった。

例えば、階層制は、昨今のスピード向上やコスト削減の重圧を受け、大半の企業において以前よりフラットなものとなった。留意すべきは、階層制は「単に組織構造上の仕組みではなく、働く意義の源泉だった」ことが重要である。順調にコツコツとやっていけば15年目には部長補佐や現場監督者になれた、そしてそれで満足することができた。しかし、階層のフラット化が急速に進むにつれて、この観点からは働く意義を見出せなくなった。それゆえに人々はなおさら、リーダーシップを求める。優れたリーダーが、自らに新たな働く意義を示してくれることを願うのだ。

あらかじめ決められたリーダーの特性は存在しない

これまでのリーダーシップ研究はほとんどが、リーダーの「個性」に焦点を当ててきた。しかし、個性を前提とすれば、リーダーシップとは「個人が有する特性」となってしまう。いつ何時も当てはまるリーダーシップ特性「これだけ備えればあなたも立派なリーダー」というものは存在しない。あるリーダーにとって有効に働く特性が、必ずしも他のリーダーにとってもそうとは限らない。

そうではなく、リーダーシップを語る場合、「周囲の人々との関係性」をその前提に据えるべきである。置かれた状況を自らがどう変えうるか。リーダーは、まずそれを考えなくてはならない。その上で、自分が備えている、有効に働くであろう資質を見出すこと。そして活かしていくことが鍵なのだ。

リーダーシップの原理原則

①リーダーシップは状況に左右される
現状を観察し理解する能力はリーダーシップの鍵だ。優れたリーダーは組織の重要な「兆し」を見逃さない。その上で、自分自身の持てる能力、リーダーとしての資質を意識的に活用しながら「状況に即して」行動をとる。

②リーダーシップは肩書きを問わない
組織内の地位とリーダーシップにつながりがあるのは確かだ。しかしそれは、いわば決め事の域を出るものではない。肩書きというものは、リーダーシップを考える上で、必要条件でも十分条件でもない。優れた組織ではリーダーがいたるところに存在している。

③リーダーシップは関係性に根ざす
リーダーシップとは、リーダーとフォロワーとの相互関係の中で、連綿と再生産され続ける。何らかの望ましい個人特性を備えてさえすれば優れたリーダー問いうことではない。良いリーダーは、自らの周りの人たちとの複雑に入り組んだ関係を、積極的・双方向的に深化させていく。

本物のリーダーを形づくる要素

最も重要なのは、リーダーが「正真正銘の」・「本物の」リーダーであることだ。リーダーが「本物である」ことなしには、お互いを信頼しあって力を合わせることなどできない。「本物のリーダー」を形づくる重要な要素は次の通り。

①発言と行動が一致していること
②常に首尾一貫していること
③自分らしくあること

本物のリーダーには、揺るぎない原点に立脚した一連の行動こそが求められる。より優れたリーダーになるためには、自分自身に忠実でなければならない。そしてその「自分らしさ」を磨き続けばければならない。

自分らしくあること

部下は、人格を有する「人物」を求める。優れたリーダーは、役割を果たす上で役立ちうる「自分ならではの持ち味」を認識し、活用している。自分らしさは、リーダーとしての役割を担って部下と接していく中で引き出され、実用に資するよう磨かれていくものである。