エッセンシャル思考 最少の時間で成果を最大にする

発刊
2014年11月19日
ページ数
320ページ
読了目安
391分
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最も大切なことに集中し、最高の成果を上げる方法
Apple、Google、Facebook、Twitterのアドバイザーを務める著者が、本当に重要なことだけに集中するための方法を紹介。何もかもやるのではなく、選択と集中こそが人生や仕事において大事だと説く。

エッセンシャル思考とは

「何もかもやらなくては」という考え方をやめて、断る事を覚えた時、本当に重要な仕事をやり遂げる事が可能になる。エッセンシャル思考とは、「より少なく、しかしより良く」を追求する生き方だ。「今、自分は正しい事に力を注いでいるか?」と絶えず問い続けるのが、エッセンシャル思考の生き方である。世の中には、ありとあらゆる仕事やチャンスが転がっている。その多くは悪くないものだし、かなり魅力的な話も少なくない。だが、本当に重要な事はめったにない。

エッセンシャル思考は、より多くの事をやり遂げる技術ではない。正しい事をやり遂げる技術だ。自分の時間とエネルギーを最も効果的に配分し、重要な仕事で最大の成果を上げるのが、エッセンシャル思考の狙いである。

エッセンシャル思考の人は、適当に全部やろうとは考えない。トレードオフを直視し、何かをとるために何かを捨てる。人生も仕事も、必要なものと不要なものを区別できなければ、どうでもいい事で埋め尽くされてしまう。

エッセンシャル思考の基本

エッセンシャル思考を身につけるには、3つの基本を理解する事が不可欠である。

①選択
選択とは行動だ。与えられるものではなく、つかみとるものだ。私達は長い間、選択の外的側面(どんな選択肢があるか)にばかり目を向けて、選択の内的側面(選ぶ能力)を見過ごしてきた。選ぶ能力は誰にも奪えない。ただ、本人が手放してしまうだけだ。エッセンシャル思考を身につけるためには、選ぶという行為に自覚的でなくてはならない。

選ぶ事を忘れた人は、無力感にとらわれる。だんだん自分の意志がなくなり、他人の選択を黙々と実行するだけになる。エッセンシャル思考の人は、選ぶ事の価値を理解し、大切に実行する。選ぶ権利を手放す事は、他人に自分の人生を決めさせる事だと知っているからだ。

②ノイズ
努力は大切だ。だが、努力の量が成果に比例するとは限らない。「より少なく、しかしより良く」努力した方がいい。努力の量と成果が比例するという考え方を捨てた時、エッセンシャル思考の大切さが見えてくる。多数の良いチャンスは、少数のものすごく良いチャンスに遠く及ばない。その事を理解し、数限りないチャンスの中から「これだけは」というものを見つけなくてはならない。本当に重要な事にイエスと言うために、その他すべてにノーと言うのだ。

エッセンシャル思考の人は、たっぷりと時間をかけて選択肢を検討する。やるべき事を正しく選べば、その見返りはとてつもなく大きい事を知っているからだ。多くをやらなくてもすむように、多くを吟味するのだ。

③トレードオフ
何かを選ぶ事は、何かを捨てること。この現実を受け入れられない人は、中途半端に片足ずつ突っ込んで、あれもこれも失う事になる。トレードオフを考えたくない気持ちはよくわかる。そもそもトレードオフが起こるのは、どちらも捨て難いような状況だ。どちらにも「イエス」と言いたくなる。しかし、それは不可能だ。非エッセンシャル思考の人は、トレードオフが必要な状況で「どうすれば両方できるか?」と考える。だがエッセンシャル思考の人は「どの問題を引き受けるか?」と考える。

エッセンシャル思考の人は、自らトレードオフを選びとる。誰かに決められる前に自分で決める。エッセンシャル思考の人は、トレードオフを当たり前の現実として受け入れている。「何を諦めなくてはならないか?」と問うかわりに「何に全力を注ごうか?」と考える。小さな違いだが、積み重ねると人生に大きな差がついてくる。