孫社長のむちゃぶりをすべて解決してきた すごいPDCA―――終わらない仕事がすっきり片づく超スピード仕事術

発刊
2017年2月10日
ページ数
240ページ
読了目安
238分
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孫正義流「仕事の技術」
ソフトバンクの社員に求められる孫正義流の仕事術が紹介されている一冊。どのようにして、ソフトバンクでは成果を出すのかが解説されています。

ソフトバンク三原則

ソフトバンクという会社を一言で表すと「圧倒的なスピードで世界のトップ企業になった会社」である。それは「前例のないことへの挑戦をひたすら繰り返す」ことで可能にした。なぜソフトバンクだけがハイスピードで革新的な事業を展開し続けることができるのか。それは、ソフトバンクが許容できる範囲のリスクでできる全てのことを、片っ端からやっているからである。大きな目標に到達するまでに「様々な手段や手法を試し、小さな成功や失敗を積み上げながら、大きなゴールへ到達する」というプロセスを経ているのである。

この成長の過程で絶え間なく孫社長が回し続けたのがPDCAである。ただし、少しだけPDCAの使い方を工夫していた。

①思いついた計画は、可能な限りすべて同時に実行する
②1日ごとの目標を決め、結果を毎日チェックして改善する
③目標も結果も、数字で管理する

この3つのことをPDCAに組み込み、着実に積み重ねてきたことが、ソフトバンク躍進の最大の秘密である。このPDCAを「高速PDCA」と名付けた。

P:「毎日」の目標を設定する

ソフトバンクの場合「実行ありき」である。議論や分析の前に、まずは「やる!」と決めてしまう。しかも、目指す目標はとてつもなくハードルが高い。ソフトバンクは、これまで特別に他の人がやりたくないことを、誰よりも先駆けてやっただけである。孫社長は事業成功の秘訣として「人がやりたがらない商売ほど儲かるんだぞ」と言った。他の人が「やらない」という答えを選択するような仕事やプロジェクトほど、実行すれば大きな成功につながる。だから「まず実行する」ということが大切である。同時にソフトバンクでは最終目標を決める。「目標+実行」からソフトバンクではすべてが始まる。

D:「同時にすべての手段」を試す

孫社長の「すべてのことを試す」におけるスタンスは徹底している。業界の非常識であっても、可能性がなさそうに思えても関係なしで、目の前のすべての方法を必ず試す。一度にすべての方法を実行するのを重視するのには次の理由がある。

①スピードでライバルに勝てる
②最善の方法を探せる
③各方法を正確に比較できる

C:結果は「数字」で厳密に検証する

孫社長が社員たちに求めることを一言で表すなら「数字で語れない者は去れ」である。どんな報告や相談にしろ、数字に基づいて話せない人間は評価されない。

高速PDCAを回す中で、数字を使う場面は「目標設定」「検証」「プロセスの見える化」の3つ。このためには2つのワザが役立つ。

①多変量解析:それぞれの要因がどのように関連しているかを明らかにする
②T字勘定:プロセスごとに毎日の数字の出入りをチェックする

A:「一番いい方法」だけを磨き上げる

大勝負に勝つために、孫社長がとった戦略が「一番いい方法」だけをやるである。あらかじめ期間を決めた上で、最初は赤字になってもいいから、あらゆる販売手法や販売チャネルを試す。そして、すべての方法を試しながら結果を検証し、最終的に一番効果がある方法を選んで、それだけを実行する。

すべての方法を数字で管理し、試し続けてきたので、必然的に最適な方法が見えてくるので、「一番いい方法」を見つけるのは簡単である。但し、その方法が永遠にいい方法であり続けることは難しい。そこで「6:3:1の法則」を使う。

1割は新しい方法をどんどん試してみる。試してみて結果が出た方法は、3割の中で入れ替える。「6」が一軍、「3」が二軍、残りの「1」がテスト生というイメージである。