デジタル・ミニマリスト: 本当に大切なことに集中する

発刊
2019年10月3日
ページ数
320ページ
読了目安
495分
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アプリやウェブサービスの断捨離
スマートフォンやSNSには中毒のような側面がある。テクノロジーによって奪われる自分の時間をいかに取り戻し、本当に大切なことに集中すべきかを指摘する一冊。

スマホ依存の罠

スマートフォンやタブレットの奥から手招きしているアプリやウェブサイトには抵抗できず、本来の役割をはるかに超えて生活のあちこちに入り込まれてしまう。この原因は、それら新しいツールの大多数は、使わずにいられないようにするために何十億、何百億ドルもの資金が投じられているからだ。

人の脳は「間歇強化(予期せぬパターンで報酬を与えられた方が喜びが大きくなる)」と「承認欲求(人は他人からどう思われているかを全く意識せずにいることはできない)」の2つからの影響を極めて受けやすい。暇さえあればスマートフォンをチェックさせたりするアプリやウェブサイトの多くは、この2つの罠を利用してユーザーが誘惑に抵抗できないようにしているからだ。

私たちが新しいテクノロジーに抱いている不安は、テクノロジーが有益であるかどうかは関係ない。主体性が脅かされていることが問題である。

デジタル・ミニマリズム

新しいテクノロジーをめぐる問題は、小さな変化では解決できないことだ。それは人の意識に強く働きかけて本能的衝動を刺激する心理的な力によって強化されている。主導権を取り戻すには、小手先の対処を考えるのではなく、自分が本当に大事にしている事柄を軸として、テクノロジーとの関係を一から築き直さなくてはならない。必要なのは「テクノロジー利用の哲学」だ。

”自分が重きを置いている事柄にプラスになるか否かを基準に厳選した一握りのツールの最適化を図り、オンラインで費やす時間をそれだけに集中して、他のものは惜しまず手放すようなテクノロジー利用の哲学。”

この哲学を採用したデジタル・ミニマリストと呼ぶべき人々は、費用対効果を常に意識している。新しいテクノロジーが登場した時、それを利用してもわずかな娯楽や利便性しか得られないと判断したら、初めから手を出さない。自分が大事にしていることを後押ししてくれそうだとわかった場合でも、その新しいテクノロジーは、さらに厳格な基準をパスする必要がある。「目標を達成するために、そのテクノロジーを利用することが最善と言えるかどうか」。この基準に照らし合わせた答えがノーなら、ミニマリストは、別の選択肢を求める。

デジタル・ミニマリストの哲学は、新しいテクノロジーが目にとまった時、それにほんのわずかでもメリットがありそうならとりあえず使ってみようという姿勢とは好対照をなしている。

デジタル・ミニマリズムの三原則

①あればあるほどコストがかかる
デジタル・ミニマリストは、あまりにも多くのデバイスやアプリ、サービスで自分の時間や注意が埋め尽くされた状態は、一つひとつがもたらす小さなメリットの総和を帳消しにしかねないデメリットを生むことを知っている。

②最適化が成功のカギである
デジタル・ミニマリストは、特定のテクノロジーが自分の大事な目標を後押しするか否かを見極めることは、初めの一歩にすぎないことを知っている。潜在的なメリットを最大限に引き出すには、そのテクノロジーをどのように利用するかを慎重に判断しなくてはならない。

③自覚的であることが充実感につながる
デジタル・ミニマリストは、新しいテクノロジーとの関わり方に自覚的であろうとする基本的な心構えから大きな喜びを得る。この喜びの源は、ミニマリストがなす個別の判断から独立しており、またミニマリズムがその実践者にとって極めて大きな意味を持つことが多い最大の理由の1つである。

この3つに納得がいけば、デジタル・ミニマリズムの正当性はおのずと理解できる。