「週刊文春」編集長の仕事術

発刊
2017年3月10日
ページ数
256ページ
読了目安
287分
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週刊文春のつくりかた
週刊文春の編集長が、人脈作り、取材交渉、企画方法などの仕事術を紹介している一冊。いかに読者におもしろがってもらうコンテンツを作るか、そのノウハウが詰まっています。

「おもしろがる」気持ちが最も大切

世の中で起こっている様々な出来事、あるいは話題の人々。それらを「おもしろがる」気持ちがスキルやノウハウよりも大切だ。世の中の空気を肌で感じ、あらゆる物事に敏感になること。それが、全ての原点である。

本当におもしろいものを作れば、人の心に響き、きちんとビジネスになる。週刊文春がやっていることは、極めてシンプルである。毎週いいネタをバンバン取って来て「フルスイング」する。スクープを連発して部数を伸ばし、世の中の注目を集める。いいものを作るために全身全霊を捧げる、という「正攻法」でここまでやってきた。

「人間対人間」でとことん付き合う

週刊誌作りの原点は「人間への興味」だ。人間はおもしろい。愚かだし醜いけど、かわいらしいし美しくもある。週刊文春も人間の業の肯定である。

スクープを追う場合も、表の顔、裏の顔も含めて人間を愛し、とことん付き合うことから情報がもたらされる。あらゆる仕事の原点は、人間と人間の付き合いだ。相手をネタや情報源として見たら、スクープは獲れない。通り一遍のアプローチでは人間はしゃべらない。事件の当事者である人間そのものと真正面から向き合って、人間対人間のとことん深い付き合いをして信頼関係を得た上で口説かなければ、本当の情報は取れない。スクープを獲れるかどうかは、その努力をするかしないかの差である。

直接会うことで信頼関係を築く

情報は全て「人」から「人」にもたらされる。「人」が寄ってくれば「情報」が集まってくる。週刊文春では、そういう求心力をずっと大切にしている。そして、人が集まってくるような場を作るには「一緒にいるとおもしろいことができそう」と思ってもらえることが大切だ。

本当の信頼関係は、直接会わないと生まれない。サシで会って話すこと以上の情報交換はない。相手の表情とか仕草、間合い。そういう温度感も含めて情報だからだ。「人と会う」ことは編集者の基本だ。「未知の人と会うこと」をおもしろがる。それが面倒くさくなると、編集者としては失格だろう。

用事がなくてもこまめに会う

取材など様々な人と出会うたびに、図々しいとうるさがられたりしながらも、その後もコンタクトしようと心がける。それを続けていくと、何人かはかわいがってくれる人が出てくる。どれだけ人に会うか、その出会いをどれだけ大切にするかに尽きる。相性が良かったり、情報を持っていそうな人とは、特に用事がなくても「お茶を飲みませんか」「食事をしませんか」とこまめに会う。日常的な地道な努力が、いざという時に効いてくる。折に触れて、こちらから積極的にアプローチをすることが大切だ。

みんなが右と言っている時に左を向く

みんなが「右だ右だ」と言っている時に「ちょっと待てよ、左はどう?」と言ってみたり、全く思いもよらないものを提案する。「ちょっと待てよ」という違和感がスクープを生み出すきっかけになることがある。そうしたセンスが求められている。

週刊文春の記者は、毎週5本の企画を提出することが義務付けられている。生ネタ、独自情報が望ましいが、既に報じられていることでも企画になることはある。ただ右から左に「こんなことが書いてありました」では企画にならない。「こういう切り口で料理すれば、面白くなるのではないか」というのが企画である。