人生を通した学びが必要である
社会に出てからの方が長期的・継続的な勉強が必要である。仕事を持っていることに満足するのではなく、常に自らを成長させていかなければならない。その必要性が高まっている理由の1つが、AIの登場と、その加速度的な進化にある。
自然言語を理解し、膨大な専門知識を学習してデータとして蓄積するAIは、ビジネスの生産性を飛躍的に高め、質の均一化に寄与するものとして期待が大きい一方、人間の仕事が次々とAIに取って代わられてしまう事態が起こり得る。技術の進歩で、人が苦労してやらなくても済むようになったり、業界の仕組みが変わって、それまであった業務そのものがなくなってしまったりすることがある。
これからくる新しい時代、AIと共に生き抜くには「AIと友達になる」ことである。そのためには自分自身の継続的なアップデートが必要である。そして、そのための方法が絶え間ない「人生を通した学び=Lifelong Learning」である。
何を学ぶべきか
「学ぶ」ということの本来の意味は、自己を確立し、人間力を高めていくところにある。その学びの中で、普遍的に伸ばしていくべき能力は次の5つ。
①スマートリテラシー
新しい仕組みを作るには、その仕組みを構成する要素やその仕組みが及ぼす影響について、まず自らが理解している必要がある。そうでないと、今までとは違う新しいやり方を想起することができない。これからは、スマートデバイスとソーシャルメディア、クラウドが当たり前に存在する環境で、プログラミング思考で物事を考え、使いこなすことができる能力が求められる。
②問題発見力
色々なことに興味や関心を持つアンテナの高い人は「何だかおかしいな」というポイントを特に意識せずとも「つい」見つけてしまう。気になるから調べる、教えてもらいたくて人の話を聞く。「知らない」ということに対して素直で、謙虚な気持ちを持っている人こそ問題発見力が高い。
③課題解決力
解決には、これまでの問題を踏まえつつ、新しい発想やアイデアで、付加価値の高い方法を生み出すクリエイティブな能力が必要である。これからは、多様性のある多くの人々を巻き込んで、1つの正解を見出すのではなく、よさそな解決策をいくつか見つけ出し、それを試す順番とダメだった時に止める条件やタイミングを決めていくという能力が求められる。
④共感力
様々に綻びを見せている世の中を変えるには、立場や利害の異なる人々であっても、相互に相手に対する共感を生み出し、同じゴールに向かって、納得して足を踏み出させるような力が必要になる。
⑤発信力
どんな時代がくるかの予測も立ちづらく、かつてよりも多様なバックグラウンドや考えを持つ人々で構成された集団となった組織をつなぎとめ、一体感を持って運営していくためには、それ相応の手順を踏むことが必要になっている。かつては暗黙のうちに共有されていた情報やビジョンを明示し、共感を引き出すというアクションを行うこと、つまり発信力が不可欠になっている。
MOOCを利用せよ
ずっと学び続ける人を応援するような潮流がインターネットの普及と共に、世界的に広がりをみせてきている。それが「オープン・エデュケーション」である。オープン・エデュケーションでは、ウェブ上に教材や講義が無償で提供されているので、インターネットにアクセスさえできれば、いつでも誰でも新たな学びを得ることが可能で、最新の知識や技術へのキャッチアップができる。
このオープン・エデュケーションの中で最も注目されている取り組みが「MOOC」(大規模公開オンライン講座)と呼ばれるものである。このMOOCを利用することで、能力を磨くために学び続けることができる。