まずは人工知能について知ること
AIの進化は、すべての人の「仕事」「働き方」「生き方」に変化を及ぼす。人がしてきた仕事をAIで代替する。それは「人の仕事を奪う」ことだけを意味するのではなく、「人の仕事を楽に」してくれるという価値を生み出す。その時、人は「新たな楽しみ」を見つけ、人生を豊かに生きることができるようになるはずである。
テクノロジーが人の仕事を奪うと考えるのではなく、「どうやってテクノロジーを活用して仕事を効率化させていくか」を考えることが大切である。テクノロジーには代替できない、人にしかできない仕事に、どうやって私たち1人1人の仕事を進化させていくか。AIにはまだまだできないことがたくさんある。AIが得意なことは何かを知り、AIが苦手なことは何かを知ることが、私たちの仕事を進化させていくためのヒントになる。
人工知能が苦手とする領域を考えよ
AIが得意とすること、苦手とすることを考える場合、次の4つの区分に仕事は分けられる。
①非構造的 × 感性的・身体的・直感的
既成概念にとらわれず、自分の感覚や発想で、今までにない新しい価値観を生み出す仕事
②非構造的 × 論理的・分析的・統計的
まだ仕組み化されていない物事に対して問いを立て、論理的に分析していく仕事
③構造的 × 感性的・身体的・直感的
人の感情を察し、相手に働きかけるホスピタリティが求められる仕事
④構造的 × 論理的・分析的・統計的
AIが得意な領域は④である。一方、①のように「創造的に考えることがより必要な領域」「身体性や感情が求められる領域」においては、まだまだ人間の方がAIより優位だと考えられる。よって、私たちの「仕事」のボリュームを「AIが苦手な領域」で増やしていけば、AIより人間の価値が高い状態で働くことができる。
AIが苦手な①〜③の領域に自分の仕事を広げるためには、それぞれの領域で求められる能力や仕事の仕方を考えていく必要がある。
人には得意分野がある。「感性・直感」が得意な人もいれば、「問いを立てる」ことが得意な人もいる。そういう意味ではいきなり①の領域にいこうとするよりも、今の仕事で「より感性的・身体的・直感的になるにはどうすればいいか」と考えるか、「問いを立てるにはどうすればいいか」を考えていくことが、実践的かつ現実的と言える。
1人1人はどう進化していけば良いのか
以下の4つの職種において、仕事を①の領域にシフトさせるためには、以下の方法がある。
①営業・接客系
・人間にしかできないヒューマンタッチな仕事をする
・感情コミュニケーションのトレーニングを積む
・データと仲良しになり、AIをツールとして使う
②製造系
・ロボットと協働する現場をイメージする
・ロボットに任せられることを見つける
・現場に感情コミュニケーションを増やす
・AIに何ができるのかを知る
③技術系
・最新テクノロジーにアンテナをはる
・感性から生まれる創造性と身体感覚を大切にする
・感性的・身体的な自分を育むためにマインドフルネスや瞑想を始める
・クリエイティブやデザインを大切にする
・AIと人間をより深く知る
④事務・管理系
・前例踏襲から未来志向へと考え方を変える
・論理だけでなく、人を巻き込む
・数字管理だけでなく、問題解決する対話の場を設定する
・率先してAIと協働する環境をつくる
人工知能時代においては「今までとは反対側にある仕事・事柄」にチャレンジすることが求められる。