超一流になるのは才能か努力か?

発刊
2016年7月29日
ページ数
365ページ
読了目安
582分
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能力を伸ばすために最も効果的な方法
チェス、バイオリン、テニス、数学など、世界中のトッププレーヤーたちを30年以上にわたって科学的に研究して、導き出された「超一流」になるための原則を紹介している一冊。

脳と身体の適応性を引き出すことが能力向上につながる

「才能に恵まれた」人の成功において遺伝的資質の影響がどれほどあるかにかかわらず、最大のカギを握るのは誰にでも漏れなく備わっている能力、すなわち人間の脳と身体の適応性である。脳には適応性があり、絶対音感をはじめとする能力は、あらかじめ存在していなかったとしても訓練によって生み出すことができる。人間の脳や身体は負荷に反応することで新たな能力を獲得する。

但し、努力し続けるだけで目標を達成できるというのは間違っている。正しい訓練を、十分な期間にわたって継続することが向上につながる。分野を問わず、技能を向上するための最も有効な方法は例外なく、同じ一般法則を満たしている。この普遍的アプローチを「限界的練習」と名付けた。これは、様々な分野で適応性という能力を活かし、新たな技術や能力を身に付けたいと願う人たちのゴールド・スタンダードである。

改善に向けた意識的な努力をしないと能力は向上しない

一度そこそこのスキルレベルに達し、運転でもテニスでもパイを焼くのでも特に意識せずにできるようになってしまうと、そこで上達は止まる。継続すればペースは緩やかかもしれないが能力は向上し続けると思っている人が多いが、これは誤りだ。一般的に、何かが「許容できる」パフォーマンスレベルに達し、自然にできるようになってしまうと、そこからさらに何年「練習」を続けても向上につながらないことが研究によって示されている。むしろ20年の経験がある医者、教師、ドライバーは、5年しか経験がない人よりやや技能が劣っている可能性が高い。自然にできるようになってしまった能力は、改善に向けた意識的な努力をしないと徐々に劣化していくためだ。

負荷をかけ、壁を乗り越える方法を見つけることで伸びる

「この程度できれば十分」という水準で頭打ちになる一般的な練習方法より、効果的であり、限界的練習に近づくものに「目的のある練習」がある。その特徴は4つ。

①はっきりと定義された具体的目標がある
②集中して行う
③フィードバックが不可欠
④居心地の良い領域から飛び出すことが必要

自らコンフォート・ゾーンの外へ追い立てることなくして、決して上達はない。これは新しく挑戦することであり、こうした壁を乗り越える方法を見つけることが、目的のある練習の重要なポイントである。一般的に、壁を乗り越える方法は「もっと頑張る」ことではなく「別の方法を試す」ことだ。つまり、やり方の問題だ。

最高の技術に至るための方法を指標にする練習こそが重要

目的のある練習だけでは限界がある。限界的練習は他の目的ある練習と、次の2つの重要な点において異なっている。

①対象となる分野がすでに比較的高度に発達していること
②学習者に対し、技能向上に役立つ練習活動を指示する教師が必要

限界的練習は最高のプレーヤーの優れた技能と、彼らがそれを獲得するために実践していることについての知識を踏まえ、それを指標としているのだ。具体的な目標に向けた限界的練習と一般的な練習の区別は極めて重要だ。というのもどんな練習でも、高い能力に結びつくという訳ではないからだ。1万時間練習すれば、誰でも特定分野のエキスパートになれるというのは間違っている。

誰でも能力を伸ばすことはできるが、それには正しい方法が必要である。上達しないのは生まれつきの才能がないためではない。正しい方法で練習していないからだ。