情熱のアフリカ大陸 サラヤ「消毒剤普及プロジェクト」の全記録

発刊
2020年7月2日
ページ数
246ページ
読了目安
366分
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日本企業のアフリカにおけるビジネスの成功事例
石鹸やアルコール消毒剤などの衛生製品メーカー「サラヤ」のアフリカにおける国際援助や海外ビジネスの活動記録。アルコール消毒剤のことを「SARAYA」と呼ばれるほどに、ウガンダで商品を普及させたサラヤの海外事業の物語が書かれています。

医療衛生における途上国の課題

5歳未満児死亡率には、先進国と途上国とでは大きな差がある。日本において5歳になる前に死亡する子供の割合はわずか0.3%。一方、アフリカ・ウガンダは5.3%。ウガンダ国内にも格差があり、医療衛生環境の整っていない地方で生まれれば、その死亡率はさらに高まる。その原因の多くは、先進国では予防可能な病気である。細菌やウイルスが体内に入ることで引き起こされる感染症は、石鹸を使った手洗いや消毒などでその多くを予防できる。だが、ウガンダにはきれいな水と石鹸が不足している地域が多い。

 

こうした問題は、ユニセフや赤十字を通じた物資の提供では根本的な解決につながるとも限らない。例えば病院や学校に石鹸を寄付したとしても、手洗いの大切さが理解できていなければ使ってもらえない。石鹸が正しい役割を果たすためには、正しい情報の発信と手洗いの啓発、そして寄付に頼らなくても石鹸がすぐに手に入る環境が必要となる。

国際衛生年にあたる2008年、国連組織であるユニセフをはじめとする国際機関やNGO、大学、企業は連携して、毎年10月15日を「世界手洗いの日」と定め、手洗いの普及啓発活動の強化を途上国で始めた。

 

サラヤのCRM活動

サラヤは、大阪でハンドソープやアルコール消毒剤などの手指衛生製品の製造・販売をメインに行なっている会社である。企業や学校などで使われている緑色の石鹸液や駅のトイレに設置してある消毒剤は、その多くがサラヤの製品であり、院内感染予防の医薬品メーカーとして世界展開もしている。

 

更家社長は、2002年の創立50周年記念式典において「手洗いで世界No1企業になります」と宣言していた。そんなサラヤが、日本ユニセフ協会の「世界手洗いの日プロジェクト」に協賛企業として参加するのは当たり前のことだった。そして、他の協賛企業と並ぶだけでは足りないと感じていた。「手洗い」事業であれば、サラヤ製品とのシナジーも生まれる。

但し、ユニセフには厳格なルールがあった。国際援助は先進国の一方的な押し付けになってはいけない。あくまで主体は現地の人々。どんなに高額な寄付をしたところで、現地の社会に根付かないと、持続的な貢献にならない。現地から、支援を申し出る側の内容に沿った援助要請が必要である。日本ユニセフ協会からは候補国が3つ上がってきた。アンゴラ、ウガンダ、マダガスカルの3ヶ国が既に手洗いの普及啓発活動に取り組んでいて、支援者を求めていた。サラヤは、将来的にアフリカでビジネスをすることも考え、公用語が英語であるウガンダを選んだ。

 

当初、更家社長は「日本のように小学校に手洗い設備を設置するのが一番だ。サラヤがそのお金を寄付してもいい」と言っていたが、設置してもすぐに盗まれたり、壊されたりの繰り返しであると聞いて、問題の深刻さに気づき始めた。モノを寄付するだけでは、何も変わらない。人々の意識そのものが変わらなければ、善意の押し売りだけで終わってしまう。現地の役に立ち支援活動を行うならば、普及啓発という地道な教育支援が必要だった。

 

支援活動からビジネスへ

2010年より始まった売上の一部を寄付するCRMはウガンダでも行われた。「SARAYA 100万人の手洗いプロジェクト」と命名され、ウガンダへの支援金は3年間で30万ドル以上と設計された。

そして、支援を一時的な活動で終わらせないためにも、アフリカでビジネスを起こしたい。そこで見つけたのが、アルコール消毒剤というビジネスの種だった。ウガンダの病院事情を考えれば、アルコール消毒剤は明らかにニーズがあった。

 

アルコール消毒剤を日本から輸出すると、輸送費の方が中身よりも高くなりかねない。現地生産をしなければ、日常的に使ってもらえる価格にはできない。現地駐在員を置き、ウガンダでアルコール消毒剤ビジネスをゼロから立ち上げることになった。