9プリンシプルズ 加速する未来で勝ち残るために

発刊
2017年7月6日
ページ数
366ページ
読了目安
592分
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変化の激しい時代を乗り切るための9つの原理
MITメディアラボ所長が、変化の激しい時代を乗り切るために必要な考え方を紹介している一冊。

不確実な未来を乗り切るために

新しいもののショックは、電信に続く驚異の世紀で何度も繰り返されることになる。ムーアの法則が実証するように、技術はなんらかのべき乗即に従って発展を続ける。

ネットワーク時代の根本条件は単に急激な変化ではなく、絶え間ない変化だということだ。ほんの数世紀の間に、安定期は短くなり、新パラダイムへの破壊的な移行はますます頻繁に起こっている。遺伝学、人工知能、製造業、輸送、医療における目前のブレークスルーは、この力学を加速する一方だ。

指数関数的な勢いで動いているのは、技術だけでなく、変化そのものだ。これは技術の産物でもあると同時に、他の発展の産物でもある。過去25年で人類は単純なシステムが支配する世界から、複雑系に左右され面喰らう世界へと移行した。このシフトの背後には、複雑性、非対称性、予測不可能性という3つの力が働いる。

我々の認知ツールセットは、通信から戦争にいたるあらゆる分野での急速な進歩が引き起こす深遠な意味合いを十分に捕らえきれずにいる。我々は、古い条件付けに当てはまらないから見逃しかねないものを、見て適応する能力をしっかり身につけなければならない。

加速する未来で勝ち残るために役に立つ9つの原理

①権威より創発
インターネットは、大衆が自分の声を伝えるだけでなく、ごく最近まで専門政治家の領域だった、議論や熟慮や調整に参加できるようにした。権威から創発へのシフトでは、ますます多くの意思決定が各種の従業員やステークホルダーたちの集団で、決定されるというよりは、創発されるようになっており、これが多くの組織の未来を変えつつある。

②プッシュよりプル
人的資源の最高の使い道は、必要なものだけを、必要とされる時だけに使って、人々をプロジェクトに引き込むことだ。タイミングが鍵となる。創発は問題解決に多くの人々を使うという話だが、プルは、この発想をもう一歩先に進め、必要なモノを、それがまさに最も必要とされている時にだけ使う。

③地図よりコンパス
地図は、その土地についての詳細な知識と、最適経路の存在を含意している。コンパスは、はるかに柔軟性の高いツールだし、利用者が創造性と自主性を発見して自分の道を見つけなければならない。地図を捨ててコンパスを取るという決断は、ますます急速に動く予測不能な世界では、詳細な地図は無用に高いコストをかけて、人を森に深く引き込んでしまいかねない、という点を認識している。

④安全よりリスク
現代の低コストイノベーションの可能性をすべて活用するには、安全よりリスク重視が不可欠だ。安全よりリスクに注目する潜在的な便益は、金銭的な利得をはるかに超え、各種の新しい機会を提供する。今何かをやる費用と何かを先送りにしようか考える費用とを天秤にかけるよう促す。

⑤従うより不服従
特に問題解決のような極度に重要な領域での不服従は、しばしばルール準拠より大きな見返りをもたらす。イノベーションには創造性が必要で、創造性は、しばしば制約からの自由を必要とする。

⑥理論より実践
理論より実践ということは、加速する未来では変化が新しい常態となるので、実際にやって即興するのに比べ、待って計画する方が高い費用がかかるということを認識するということだ。いまや、各種の立ち上げは、価格面でも大きく下がり、ビジネスは「失敗」を安上がりな学習機会として受け入れるのがごく普通になっている。

⑦能力より多様性
様々な局面で、多様性のある集団の方が生産的だと実証する研究は増えており、多様性は組織にとって戦略的に重要となりつつある。

⑧強さより回復力
イノベーションの費用は急減しているので、回復力より強さを重視するのはもはや筋が通らないかもしれない。

⑨モノよりシステム
イノベーターが生態的、社会的、ネットワーク的な効果を考えずに新製品や技術介入を開発できる時代は終わった。これからは、イノベーションへの動きはその潜在的な全身性の影響を深く考えることで抑えられる必要がある。