起業家の公式
アントレプレナーになるための第1歩は、研究室やピッチ・セッションで始まるのではない。その1歩は、頭の中で始まる。家賃やローンや子供の教育費を心配し始める頭の部分だ。リスクにさらされる時、アントレプレナーになるための第1歩が始まる。
アマゾンの創業者ジェフ・ベゾスは、アントレプレナーであることの、その期待と興奮と不安の入り混じった感情を「初日(デイ・ワン)」と呼んだ。ベゾスのいう「デイ・ワン」とは、毎日を新しいものを作り出す新しい機会とみなし、その日その日を、初日の気持ちで仕事に取り組むという姿勢である。アマゾンを創業してすでに16年経つのに、ベゾスは株主への手紙を「自分のアプローチは何も変わっていない。今もまだデイ・ワンなのです」と締めくくっている。
心 + 意志 ー 恐怖 = アントレプレナー
起業家精神は自分で自分を奮い立たせて、恐怖を振り払い、覚悟を決めるところから生まれる。
「最初の1歩」の刻み方
周囲と逆の発想をすることがアントレプレナーになるための第1歩だとするならば、周囲が最初から、こちらの考えを受け入れてくれると期待してはならない。だから、自分を同じような考えに情熱を燃やす「変わり者」を見つけた方が話が早い。クレイジーなアイデアだと批判された時には、「自分はクレイジーなアイデアの持ち主だ」と、認めればいい。
リスクの正しい取り方
①全財産を賭けるな最大限のリスクを負わず、リスクを最小限に抑える。焦点を合わせるのは、最大限の利益を上げることではない。損失を許容範囲内に抑えることだ。
②友達の意見でアイデアを試してはいけない
必要なのは、自分のアイデアを「曇りのない目」で見ることである。友人の厳しい意見に耳を傾けると、夢や冒険を台無しにしてしまいかねない。反対に、褒めちぎる友達も問題である。
③クラウドに従う
クラウドファンディングを利用すれば、市場から貴重なフィードバックを得られる。
④ストーキング技術を発揮する
アントレプレナーにあるのは、いい意味での図々しさだ。ストーキング術を磨くには、競合、顧客、同僚、仕入れのゲートキーパーをストーキングする。
逆境を乗り越えるための5つの戦術
①逆境から逃げず、混乱の中に飛び込む②景気減速の時にこそ、貪欲さに磨きをかけて攻める
③誠実な態度で失敗を認める
④ルーツに戻って失ったものを取り戻す
⑤変化は起きるものとして行動する
迷いを断ち切るための「ホワイトボード6か条」
事業拡大を目指すアントレプレナーが、運命を決する危機に瀕した時に役立つ解決法。
①ドアを閉める
一旦事業を立ち上げて走り始め、多少なりとも収入が見込めたら、事業に全力を注ぐべきだ。昼間の仕事などの「保険」を棄てなければならない。
②義理の母をクビにする
パートナーや家族の大抵は、健全な範囲を超えてまでその会社や仕事にしがみつこうとする。過ちを避けるためには株主間契約を結んでおくことだ。
③ミノベートする(少しだけイノベートする)
大半のアントレプレナーが抱いているのは大きなアイデアではなく、小さなアイデアだ。つまり、いきなりグーグルを創業しない。
④ペンを諦める
重要とも思えないプロジェクトにまで手を広げたい衝動を抑える。事業をここまで成長させてきたコアアイデアに集中する。
⑤大きく夢見て、小さく成果を積み上げる
スタートアップが失敗する理由は、時期尚早の事業拡大にある。
⑥1度にひと口ずつ、象を食べる
起業家精神とは現状を打ち破る時には気持ちを奮い立たせることだが、問題に直面した時には冷静さを取り戻すことだ。大胆な夢を堅実なステップで実現することなのだ。