得する、徳。

発刊
2019年12月21日
ページ数
224ページ
読了目安
225分
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推薦者

徳を積むことはお金よりも大切
信用はお金よりも大切である。日本に昔からある考え方「徳」と信用の関係性を紹介しながら、様々な偉人の事例などをもとに、「与える」ことの大切さを説く一冊。

「与える者」は救われる

情けは人の為ならず。他人に優しくし、恩義をかければ、他人に対してだけでなく、巡りめぐって自分のところにも戻ってくる。「人助けは報われる」という概念は昔から存在した。

グローバル化が進もうが、結局、成功するには利他的な精神が大事だと再認識させたのが、ペンシルバニア大学ウォートン・スクールのアダム・グラント教授である。成功のピラミッドの一番上を占めるのは、自分の利益を必ずしも優先せずに、惜しみなく人に与える人間である。他者を慮る「ギバー」こそが現代の勝利者になれると研究によって明らかにした。

頼まれごとを引き受けてみること

堀江貴文氏は信用こそビジネスや仕事を進めていく上で重要だと強調している。では、どうすれば信用を築けるのか。

1つは人間関係の「断捨離」。好き嫌いをはっきりさせる人は、みんな信用されるようになる。みんなに気に入られようとすると、結果的に誰からも好かれないし、信用もされない。そしてもう1つが「与える気持ち」。信用を得るためには、相手と「ギブ&テイク」という関係性を築くのではなく、「ギブ&ギブ」くらいの気構えが必要だと言う。相手の想像をはるかに超える何かを与えることこそが、信用を得る近道になる。

与えられるモノがないなら、頼まれた時くらいは快く引き受けてみる。積極的にはやらなくても、基本断らないというマインドを持てばいい。人は結構快不快で「忙しい」などの理由をつけて自然と頼まれごとを拒否していたりする。物理的に無理なモノは仕方がないが、頼まれれば1回は「やってみる」。面倒な会合にも顔を出す。1回やってみて、無理ならば行かなければいい。やったらやったで、意外に楽しいし、思ったよりできる。

やらないことで逃しているチャンスは大きい。特にビジネスでは、何でも断る相手より、気持ちよく頼れる相手と仕事をしたいと誰しも思う。

信用は「与える」ことから生まれる。これは、日本人が慣れ親しんできた「徳」そのものである。

利他と滅私を混同してはならない

「与える」ことは重要だが、一方で自己犠牲を厭わない「いい人」は成功から最も遠くに位置するという可能性は拭い去れない。会社でも「人望が厚い人」となり出世するか、「お人好し」として利用されるかは紙一重である。

「いい人」は損得を度外視して有望な人やアイデアを支援する。厄介な仕事も進んで引き受ける。そうした姿勢が大きな成果を生み出すこともあるが、自己防衛しなければ他者への尽力が祟って過大な負担と疲れを抱え、仕事の目標達成が遠のくこともある。つまり、利他と滅私を混同してはならない。

いかなる時でも要望に応えるのは親切ではない。他者を助けるための犠牲が過大にならないよう、注意を払わなければならない。与える意識を持つことは重要だが、ギバーでありながら「お人好し」にならないためには作法がある。

与え続ける人になるために注意すべきこと

①何もかも引き受けてはならない
②犠牲を払っていると思うなら断る
③無理に「いい人」を目指さない
④行為ではなく関係性を強調する
⑤利己的すぎるヤツは必ず存在するので、距離を置く