ロボットアニメビジネス進化論

発刊
2017年8月17日
ページ数
248ページ
読了目安
289分
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ロボットアニメと玩具の歴史
ロボットアニメと玩具・模型の歴史を語った一冊。『鉄腕アトム』『鉄人28号』『エイトマン』から始まったロボットアニメが、どのような変遷をたどって発展してきたのかが紹介されています。

ロボットアニメの誕生

1963年、国産初の本格的連続テレビアニメ『鉄腕アトム』の放送が始まった。同年には『鉄人28号』『エイトマン』が続いている。これら国産テレビアニメの黎明期の作品は、いずれも「ロボット」ものだった。『鉄腕アトム』『鉄人28号』『エイトマン』の3作品は、ともに菓子及び食品メーカーがメインスポンサーだった。『鉄腕アトム』は明治製菓、『鉄人28号』は江崎グリコ、『エイトマン』は丸美屋で、いずれのメーカーも、パッケージやおまけシールにキャラクターを印刷した商品を販売した。

そこには、スポンサーが提供料を番組の製作元へ支払う見返りとして、番組に登場するキャラクターの商品を販売して利益を得るというビジネスモデルがあった。

ロボットアニメの転機

1966年には男児キャラクター玩具の世界において、重要な商品が誕生した。その1つは特撮番組『ウルトラQ』『ウルトラマン』に登場する、マルサン商店のソフトビニール製怪獣。そして今井科学が発売した、人形劇『サンダーバード』で活躍する国際救助隊メカニックのプラスチックモデルである。これらは空前の大ヒットを記録して、玩具やプラスチックモデルといた立体物がマーチャンダイジングの核として注目されるきっかけとなった。

1972年は、日本のロボットアニメ発展の大きな転機だった。『科学忍者隊ガッチャマン』と『マジンガーZ』の放送がスタートした。この2作品がその後の児童向けテレビ番組に与えた影響は極めて大きい。

『ガッチャマン』の商品展開は、『サンダーバード』と同様に、組み立て式模型と完成品玩具の2本柱で行われた。その玩具ではダイキャストモデルが発売された。「超合金」や「ポピニカ」といったダイキャストモデルが男児玩具のメインストリームになるのは、1974年以降のことだが、『ガッチャマン』は先駆的であった。

超合金の発明

『マジンガーZ』は、ロボットアニメというジャンルを確立した。さらにテレビ、映画、雑誌の各メディアを駆使して人気を盛り上げたことでも重要な作品だった。今日では当たり前のメディアミックスを効果的に用いた最初のアニメだった。『マジンガーZ』の主要スポンサーは大塚製薬だが、玩具や模型の商品化権はバンダイが取得していた。そのバンダイグループのキャラクター玩具専業メーカーのポピーは『マジンガーZ』によって急成長する。1973年、ポピーによって発売された『ジャンボマシンダー』は、マジンガーZの巨大な人形というアイデアにプラスして、バラ売り武器のパーツを商品化した。『ジャンボマシンダー』は1973年度だけで70万個を売りあげる大ヒット商品となり、当時のテレビキャラクター玩具を代表する存在となった。さらに翌年、『マジンガーZ』の超合金がヒット商品となった。「超合金」は「本物を感じさせる感覚」によって、テレビとの一体感を感じさせるアイテムだった。「超合金」は1975年には「ジャンボマシンダー」を抜いて、ポピーの主力商品となり、ポピーは日本トップクラスの売上を出すメーカーの座へと駆け上がった。

ポピーの『マジンガーZ』玩具のヒットは、直ちに玩具業界に新たな潮流をもたらした。特に「ジャンボマシンダー」と「超合金」は、他社から限りなく近しい商品が商品化されている。以降、ロボットアニメ、巨大ロボットが登場する作品は着実に増加し、それによりマーチャンダイジングの中核もロボットに移り、様々なメーカーからロボット玩具が発売されていくようになった。