STARTUP(スタートアップ) アイデアから利益を生みだす組織マネジメント

発刊
2017年8月25日
ページ数
352ページ
読了目安
557分
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なぜ多くの起業家は失敗するのか
UCLA、コロンビア大学など全米70校が「アントレプレナーシップ」の教科書として採用している一冊。起業家の挫折と逆転の物語を小説として描き、起業に関する教訓を説いています。

失敗する起業家

起業家の大半は間違ったやり方で事業を立ち上げている。データを見ると、スタートアップの圧倒的大多数は失敗する。厳しい審査を経て、ベンチャーキャピタルなど外部投資家の資金を受け入れたスタートアップですら、75%は成功できずに終わる。

失敗する起業家の大半は情熱を持って全力で働いている。スタートアップを成功させるために積極的にリスクを取り、何でも試そうとする。しかし、ビジネスモデルが欠陥を抱え、お金を払う顧客が一人も現れないとしたら、スタートアップは失敗する。「当初のアイデアが間違っていた」と悟った時にはすでに手遅れで、資金は底をついている。創業者は、すっからかんになってようやく「誰もこの製品を欲しがらない」と気づくのである。

スタートアップを成功させる4原則

スタートアップについて学ぶ方法は百万通りある。しかし真に学ぶ方法は1つしかない。起業家自身がスタートアップの失敗・成功を経験することだ。しかし、次の4つの原則を肝に銘じておけば、成功の確率を高めることができる。

①スタートアップの目的は顧客を見つけることであって、商品を作ることではない
商品を作れないという理由で失敗する起業家はいない。起業家が失敗するのは商品を買ってくれる顧客がいないためだ。典型的なスタートアップは次のようなステップを踏む。

1. アイデア:起業家はアイデアを思いつき、あらゆる可能性を思い描く。
2. 商品作り:多くの時間と資金をつぎ込んで、完成度の高い商品を作る。
3. ブランド:商品にブランドをつける。
4. 顧客  :最後に顧客を探し始めるが、大抵は顧客は見つからない。

成功する起業家は「アイデア」→「顧客」→「商品作り」→「ブランド」のステップを踏む。商品を作る価値があるかどうか見極めるために、商品を作る前に潜在顧客を探す。商品を作る際には、人が最も重視している特性や機能を取り入れる。

②人は製品やサービスを買うのではなく、問題の解決策を買う
人は特性や機能を求めて店に行くわけではない。何らかの問題を抱えており、それをどうにかして解決したいと思っているから店に行くのだ。顧客が解決すべき問題を抱えているかどうか見極めるには、自分自身で顧客に直接会い、話を聞くことが唯一の方法だ。

③起業家は探偵であり、占い師ではない
どんなに鋭い起業家であっても未来は予測できない。本物の起業家は事実を追求する。探偵のように行動する。その点で単なる空想家やアマチュア起業家とは決定的に異なる。彼らは当初のアイデアは多数の仮説で成り立っていると認識している。仮説が正しいかどうか判断するには現実の世界で検証するしかない。これによって何が推測で何が事実なのか判定できる。事業パートナーや投資家、社員と無駄な議論をしてはならない。仮説が正しいかどうかをめぐって、彼らと議論したところで徒労に終わるだけである。代わりにやらなければならないのが、事実を集めて仮説を検証することである。

④成功する起業家はリスクを取るのではなく、運を呼び込む
成功する起業家は、リスクを最小化して運を呼び込むスキルを学んでいる。緻密に計算して何度も小さく賭ける。そのようにして仮説を検証しつつ、新たなチャンスを見出すのだ。個々の賭けに負けても構わない。最小限の時間と資金しか投じていないため、負けても再び挑戦できる。何度も小さく賭けているうちにいずれチャンスに巡りあえる。つまり、運を呼び込める。その時になって初めて持てるすべてを賭けるのである。