攻めるロングセラー (パインアメ「中の人」の心得)

発刊
2017年8月17日
ページ数
152ページ
読了目安
124分
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推薦者

Twitterを使いこなす方法
大阪発のロングセラーキャンディ「パインアメ」の公式Twitterを運営する担当者が、Twitterの活用法とPR術を紹介している一冊。

パインアメとは

パイン株式会社は、1948年に大阪で創業し、1951年にパインアメの販売を始めた。パインアメが発売された当時は戦争の傷跡が残っており、パイナップルは高級品。生のパイナップルはもちろん、缶詰でさえも病気にならないと食べられなかった。創業者の初代社長は、このパイナップル缶の美味しさをもっとたくさんの人に気軽に楽しめるようにとパインアメを開発した。

パインアメは、平べったい形状で、真ん中に穴が空いており、その周りには24本のすじがある。表面積が広がり、キャンディの味が口の中で広がりやすい形状になっている。現在の味・形状になってからは大きな変化はないが、絶えず小さな改良はされている。

近年では、パン、ゼリー、ジュース、カステラ、バウムクーヘン、ポテトチップスなどたくさんのコラボレーション商品が生まれている。

公式Twitterとして最初に決めたこと

パインアメ公式Twitterは、2010年8月に始まった。当時は本当に手探りだった。つぶやき始めて、決めていたことは2つ。

①特定の人を傷つける内容の投稿はしない
②パインアメや自社商品から離れすぎない

企業の公式アカウントで発言したことは、そのまま企業の意見としてフォロワーに受け取られる。「中の人」の発言した言葉一つで、あっという間に企業の信頼を失う可能性もある。

フォロワーを増やすことを目的にしない

パインアメの公式アカウントを立ち上げた時、会社には自社キャラクターと呼べるものは特になかった。そこで「平社員マッキー」という名前で等身大の社員としてつぶやくことに決めた。

パインアメの公式アカウントで最初にしたことは、個人アカウントのフォロワーにお願いしてフォローしてもらうことだった。次に「パインアメ」とつぶやいている方にリプライを送り、公式アカウントがあることを知ってもらう取り組みを実施した。1〜2年ほど地道にその活動を繰り返した。

会社からは、発言内容に関しては一任されていた。この放任主義が現在のパインアメのアカウントの礎になった。厳しく監視されていたら、今まで話題になったツイートは生まれなかったかもしれない。

企業アカウントにとって、フォロワー数を増やすのは重要なことだが、忘れてはいけないのは「フォロワー数を増やすことだけが目的になっていないか」ということ。あくまで「自社商品を知って頂くこと」「お客様とのコミュニケーションをとること」が企業公式Twitterの目的である。新しいフォロワーを増やすだけでなく、現在フォローしてくださっている方に興味を持ち続けてもらうことも重要である。

パインアメの公式Twitterアカウントが10万人以上のフォロワー数に至るまでには、他の企業の「中の人」の助けも大きいものだった。フォロワーが増えた理由の1つとして、他社との交流がある。企業アカウント同士のやりとりを楽しんでいる方も多く、相乗効果でより楽しいつぶやきが生まれている。

誰もが知っているものの、知らない一面を伝える

「パインアメは鳴らない」というツイートは、3万リツイートを超える大きな反響を得た。社員にとって「鳴らないこと」は当たり前の事実でも、お客様には意外と知られていなかった。「他の人は知っているのかな?」「知らないなら教えてあげて、驚いてもらいたい!」という想いが連なった結果が、3万ツイートにつながった。

Twitterでは、自社商品・サービスのメリット・デメリットや過去の情報を上手に使いこなし、クスッと笑えるようなポイントを見つけて、それをネタに自虐的に発信してみると、大きな反響が返ってくるかもしれない。

「中の人」の心得

①「目的」を忘れない
②つぶやける「ネタ」を作る
③「空気」を読む
④「自分らしさ」を出す
⑤フォロワーを「味方」にする