東大教養学部「考える力」の教室

発刊
2017年9月23日
ページ数
246ページ
読了目安
252分
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推薦者

東大式 ゼロから物事を考えるための方法
東大の教養学部で東大生が殺到する授業「考える力の教室」を書籍化したもの。様々な思考の型を紹介した上で、ゼロから物事を考えるための方法を述べている一冊。

考え方を考える

「新しいアイデア」を出すためには、決まったプロセスにそって物事を考えるのではなく、常に「考え方を考える」という姿勢が最も大事である。新しい考え方のプロセスが創造できれば、生まれてくる考え方も当然、新しくなる。

ただ、全く型がないと、考える際にもどこから手をつけていいかわからなくなる。この考えるための基本フレームを「リボン思考」と呼ぶ。リボン思考は、3つのステップから構成される。

①事実について考える(インプット)
②解釈について考える(コンセプト)
③解決策について考える(アウトプット)

3つのステップを常に頭の中で意識することで、今まで漠然と考えていたことが「どの段階で考えているのか?」が明確になり、これまで以上に「考え方を考える」ことを意識できるようになる。

インプット

新しいものを考え出すプロセスの中で特に重要なのは、良質なインプットである。「何を集めるか? どう集めるか?」という段階から楽しいアイデアを盛り込んでいくと、独創的なアウトプットにつながる可能性が高くなる。インプットでは、次の2つからスタートする。

①そもそも何を調べるか
ここで大事なのは「問い」である。「問い」の内容によって、調べる内容や対象も異なる。凡庸な「問い」からは、凡庸な発見しか生まれない。インプットにおける問いの原則は、オープン・クエスチョンである。回答者の側が自由に回答できるため、何が返ってくるかわからない。聞いた側が想定していない、新しい発見に出会える可能性がある。

②どうやって調べるか
ネットを使った検索は多くの情報をすぐに調べることができるが、手軽な分情報としての希少性はない。誰もが思いつくような方法ではなく、調査自体にオリジナリティを持たせることで、アウトプットの質を高めることができる。リボン思考では、テーマに関する思わぬ気づきを得るための調査(探索型調査)を重視し、「デスクリサーチ」「定量調査(アンケート)」「定性調査(観察・聞き取り)」などの手法を用いる。

アイデアの質は量に比例する。多面的に情報収集するには、複数の視点から情報を集めることが大切である。

コンセプト

コンセプトとは「一言でいうと何なのか?」である。優れたコンセプトは、3つの「K」を備えている。

①共有力(言いたいことがわかりやすく明確で、関係者で共有できる)
②期待力(関係者や生活者にとって驚きやワクワクを期待させる)
③起点力(コンセプトを聞いただけで、様々な領域のアイデアが湧く)

コンセプト作りには正解が存在しない。次の4つの思考モードを常に意識しながら、コンセプトの考え方そのものを自由に考える。

①俯瞰する(物事を客観的に捉える。視野を広げ、立ち止まって俯瞰する)
②分類する(分類・整理し、物事を分けることでシンプルにして理解する)
③掘り下げる(物事の背景や根源的な部分に思いを巡らせ、追求する)
④混合する(一見関係ないようなものや情報を組み合わせる)

アウトプット

アウトプットのフェーズでは、次の4つを行う。

①コンセプトの持つ意味合いをより具体的にする
②コンセプトを起点に、アイデアをさらに広げる
③コンセプトから、アイデアをもう一段ジャンプさせる
④コンセプトを基準に「やらない」ことを明確にする

ポイントは、コンセプトを土台にして、とにかく量を出して、絞っていくことである。その際、1つの統合性を維持しながら考え、ストーリーを語れるようにすることが大切である。