21世紀のビジネスにデザイン思考が必要な理由

発刊
2015年8月4日
ページ数
256ページ
読了目安
334分
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デザイナーの思考法を学ぶ
イノベーションの重要性が増している中で、注目されているデザイン思考。
デザイナーの思考法を学ぶことで、新たな発想を生み出すというこの手法が紹介されている一冊。

デザイン思考とは

デザイン思考の1丁目1番地は「デザイナーの思考法」そのものである。デザイナーが目指す思考スタイルは、左脳と右脳の両方を活用したハイブリッドな思考である。それは、左脳の論理の力と右脳のイメージの力を両方バランスよく使いながら、自分ならではのユニークな切り口を出すという、創造=「知的生産」を日々実践する事になる。

このハイブリッド思考を成り立たせている要素は「インプットの質」「発想のジャンプ」「アウトプットの質」の3つに分解される。それぞれの質を高めていく事で、知的生産性を大きく上げる事ができる。

右脳を刺激するインプット

デザイナーは、プロジェクトを始める際、アイデアを考えるためのリサーチを行う。リサーチで大事にされているのが、右脳を刺激するインプット。例えば、ビジュアルのイメージや動画を集める事や現場に実際に行ってみる事である。ビジュアル情報は文章などのテキスト情報に比較して、圧倒的に情報量がある。より具体的に人の気持ちや生活シーンをイメージする事で、新たな切り口の仮説を発想するやり方が、デザイナーのリサーチの特徴である。

インプット(ビジュアルを集め、ビジュアルで考える)

多量のビジュアルデータを集め、現場での観察やインタビューによる一次情報を浴びるように吸収する。この作業を通じて、最終的にどんなアウトプットを作りたいのかに関するイメージのヒントを見つける。重要な事は、普段自分が無意識に接している世界と全く違う振れ幅の世界に触れる事で、発想を広げる事である。

①人間横断:自分とは全く違う環境の人の生活や人生に触れる
②分野横断:共通項を持ちながら全く違った分野での例に触れる
③地理横断:世界の全く違った場所で起こっている事に触れる
④時間横断:歴史的な観点から時代を経て起こっている違いと共通点を知る

ジャンプ(発想を飛躍させる)

デザイナー思考には、様々な組み合わせを結び付ける「新結合」、一見違うものに共通点を見出す「アナロジー思考」、前提となるルールを変えてしまう「前提を壊す思考」の3つがある。

①新結合
縦軸に想定ユーザーセグメントを、横軸にユーザーニーズをそれぞれ貼り出して、その組み合わせをアイデア出しするという強制発想のマトリックスを使う事がオーソドックス。

②アナロジー思考
新しい事を発想する上では、既に知っている身近な世界である自分の知識を、未知の知識と結び付ける事で新たなアイデアを生む事ができる。アナロジー思考を実践するには「これは、何に似ているだろう?」と「比喩」を考える事が有効。そして、言葉で考えるより、似ているものを雑誌の写真から探すなどしてビジュアルから考える事が効果的である。

③前提を壊す思考
既存の常識を言語化し、2軸を設定し、間逆の方向性を考える。軸の組み合わせを変えて繰り返し、手垢がついていない分野を絞ってブレーンストーミングする。

アウトプット(シンプルに感情に訴えかける体験デザインを行う)

伝えたい要素を凝縮していかにシンプルにし、受け手に合った形でドラマ性のある体験を表現し、感情を揺り動かすか。これには3つの要素がある。

①凝縮フォーマット
様々なアイデアを凝縮してシンプルなものにするため、1枚のポスターや、ネーミング、キャッチコピーなどのフォーマットを利用する。1枚で表現しなければならないという、制約を課す事で、自動的にいらない要素を削ぎ落とす。

②ストーリーテリング
よく使われるのが、ハリウッドのヒット映画の脚本作りでも使われている「英雄の旅」というフレームワーク。物語の最小構成要素として4つの要素に置き換える。

・主人公が
・宝物を得るために、
・試練に打ち勝つことで、
・幸せになる

③体験デザイン
アイデアを表現するために、パワーポイントのプレゼンだけでなく、ポスターやビデオ、プロトタイプなどで表現する。