Think right 誤った先入観を捨て、よりよい選択をするための思考法

発刊
2020年6月16日
ページ数
347ページ
読了目安
424分
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正しい決断をするために必要な思考法
間違った決断を下してしまう「思考の落とし穴」を52個紹介し、どうすれば正しい決断ができるのかをアドバイスしている一冊。心理的なバイアスによって、誰もが陥りがちな落とし穴に気づき、一歩立ち止まって考えることの大切さを教えています。

フレーミングのワナ

ものは言いようだ。同じ状況なのに、表現の仕方で受ける印象が違う。これを「フレーミング効果」と言う。「フレーミングのワナ」にハマっていると、全体の一部分しか注意が向かなくなってしまう。

どのような情報も、1つの枠組みを通して描写されている。どんな枠組みに基づいた情報かを見極めること。そして、その情報の1つ1つは、ある解釈の枠組みを通して述べられていることを忘れないこと。

 

確証のワナ

「確証のワナ」とは、新しい情報を、自分の意見や信念に無理やり合わせて解釈する傾向のことを言う。自分の考えと一致しない情報(反対の証拠)をフィルターにかけて見ない。人間の脳は「反対の証拠」を見ても、30分後には忘れてしまう。「確証のワナ」は、厄介なことに、自分では気づかない。私たちは情報をフィルターにかけ、ますます偏った情報ばかり集めるようになり、自分と同じ考えを持つ人々の集団の中で行動するようになってきている。

まず、自分の考えを書き出すこと。それから、「反対の証拠」を探してみること。

 

権威のワナ

権威のある人々には、問題が2つある。

①権威があるからと言って、間違いを犯さないわけではない。

②私たちは権威を信じるあまり、自分自身で考えなくなってしまう。

 

専門家ではない人の意見には慎重になるのに、専門家の意見は聞き入れる。理性や道徳に反するような時でさも、権威に服従してしまう。「専門家」と呼ばれる人と会う時、相手に遠慮しないでどんどん自分の意見を言うこと。権威を持つ人を批判的な目で見れば見るほど、他人の影響を受けなくなる。

 

希少性の錯覚のワナ

珍しいものには価値がある。「希少なもの」に反応している時には、論理的に考えられない。だから、あるものの価値を評価する時には、価値だけでなく、それがどれくらい役に立つかを基準に判断すること。

 

選択のパラドックスのワナ

「選択肢が多いこと」は、私たちを幸せにしてくれる。だが限界がある。限界に達すると、余分なものがあることで生活の質が逆に落ちてくる。この落とし穴を「選択のパラドックス」と呼ぶ。選択肢が多くなるとかえって不幸になる理由は次の3つ。

①選択肢が多すぎると、考えることをやめてしまう。

②選択肢が多すぎると、誤った決断を下してしまう。

③選択肢が多すぎると、不満を感じるようになる。

 

目の前にある選択肢をあれこれ吟味する前に、まず自分が望んでいることをよく考えること。選ぶポイントを書き出し、その条件を満たしたものを手に入れるようにする。それから基本的には「完璧なものなど選ぶことはできない」と考えるようにすること。「まずまずの答え」で満足すること。

 

「あなたが好き」のワナ

私たちは、「自分のことを好ましく思っている」という信号を送ってくれた人に対して好感を持つ傾向がある。誰かのことを「感じがいい」と思えば思うほど、その人から商品を買ってしまったり、その人を助けてあげようという気になってしまったりする。「他人に好感を覚える時」の要因は3つ。

①外見が魅力的

②出身、人間性、関心が向いている方向が自分と似ている。

③相手が自分に好意を抱いてくれている。

 

ものを買う時は、売り手の人柄で商品の価値を判断しないようにすること。

 

お返しの法則のワナ

人は何かをもらった時に「負い目」を感じる。そして、ほとんどの人は負い目を感じることに耐えられない。スーパーマーケットやデパートで、ワインやチーズ、ハムやオリーブの試食を勧められても断った方がいい。

 

生き残りのワナ

日常においては「成功」が「失敗」よりもはるかに目立つために、成功への見通しを甘く見て過大評価してしまう。私たちの耳には「成功談」しか届かないので、成功を収めることがどれほど難しいことであるかに気がつかない。メディアは、挫折者の墓を掘り起こすことには関心がない。「生き残りのワナ」にハマらないようにするには、あくまで自分自身で気をつけるしかない。かつては有望視されていたプロジェクトや投資、輝かしい経歴を持った人々が眠る「墓場」をできる限りなんども訪れてみると、学ぶことが多い。