アマゾノミクス データ・サイエンティストはこう考える

発刊
2017年7月28日
ページ数
397ページ
読了目安
233分
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情報リテラシーを磨くべし
amazonの元データ・サイエンティストが、ソーシャルデータの利用について、正しいあり方を説く一冊。データを収集する企業もデータを提供する個人も、情報の取り扱いについて正しい理解が必要であると説く。

増え続けるソーシャルデータ

10億人以上が日々、ソーシャルデータを生み出し、共有している。「ソーシャルデータ」とは、あなたに関する情報だ。あなたの動き、行動、関心。それに他者、場所、製品、さらには思想信条との関わりについての情報も含まれる。中には意識的に提供するデータもある。例えば、グーグルマップを開き、目的地を打ち込むのはそれにあたる。一方、インターネットやモバイル端末を便利に使う中で、たいして考えもせずに提供するデータもあるだろう。

ソーシャルデータの量は指数関数的に増加している。今日ソーシャルデータの量は、18ヶ月ごとに倍増している。10年後には、およそ100倍に増えているはずだ。これは2000年に丸1年かけて生み出されたのと同じ量のデータが、今ではたった1日で生み出されている、現在の増加率が続けば、2020年には同じ量が1時間以内に生み出されているだろう。

データに振り回されてはならない

ソーシャルデータの価値が明らかになった今、我々はデータの「入手」という側面だけでなく、「行動」という側面を意識する必要がある。日々生み出すソーシャルデータは、その場限りのものではない。今日の行動によって、先々の選択肢が変わってくるかもしれない。ソーシャルデータを分析することで、将来の可能性や確率がこれまで以上に明確になるかもしれないが、最終的選択は我々自身が意識的に行う必要がある。

ソーシャルデータは極めて民主的なものであり、その最適な活用のあり方は我々全員に関わる問題だ。我々の未来に重大な影響を及ぼす基本ルールに関する意思決定を、データ企業の手に委ねてはならない。我々が自らの意思決定にまつわるトレードオフをこれまで以上に理解できるように、データを収集、結合、統合、分析することには合意してもいいだろう。しかしあらゆる重要な意思決定につきもののトレードオフを評価するには、人間の判断が欠かせない。我々の人生がデータに振り回されることがあってはならない。むしろデータによって一層良いものになるはずだ。

個人がデータ利用について評価できるようにする必要がある

今必要なのは、個人がデータを共有・統合することのリスクとリターンを評価できるようにし、企業にそれに伴う責任を課すためのルールである。「透明性」と「主体性」の2つの原則は、我々をソーシャルデータの不正使用から保護すると同時に、ソーシャルデータからより多くの恩恵を享受できるようにする可能性を秘めている。

・透明性
どんな情報が集められ、どこに伝わるのか、それは個人が入手するアウトプットにどのように寄与するのか。

・主体性
データ企業のデフォルト設定がどのようなものか、簡単に確認できるようになっているか。自分の望むとおりにデータを自由に変更できるようになっているか。

透明性や主体性という原則を、具体的かつ実践的な手段に落とし込むためには、新たな権利を明確に定義する必要がある。

我々の生活はデータ企業に筒抜けだ。データ企業は個人データを収集・分析し、売買することもある。データを人質にして、「我が社の条件を飲まなければ使わせない」などと言うことも多い。我々は自分たちに関わるデータの変更、交換、販売に対してある程度の発言権を持つべきであり、データ使用に関する条件の設定にも関わる必要がある。我々データを作成する側とデータ企業の双方が、透明性と主体性を持たなければならない。