センスは知識からはじまる

発刊
2014年4月18日
ページ数
192ページ
読了目安
202分
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センスを磨くにはどうすればいいのか
「くまモン」の生みの親であるデザイナーが、センスを磨くための方法を紹介している1冊。そもそもセンスとは何かを定義し、センスとは生れつきのものではないと説く。

センスとは何か

「センスのよさ」とは、数値化できない事象のよし悪しを判断し、最適化する能力である。おしゃれも、かっこよさも、かわいらしさも数値化できない。

センスがいい商品をつくるには、「普通」という感覚がことのほか大切である。それどころか、普通こそ「センスのいい/悪い」を測る事ができる唯一の道具なのである。
普通とは「いいもの」がわかるということ。普通とは「悪いもの」もわかるということ。その両方を知った上で、「一番真ん中」がわかるということ。「普通」を知っていれば、ありとあらゆるものが作れる。普通という「定規」であらゆる事象を測っていく事によって、様々なものを作り出す事ができる。

数値化できない事象には、ありとあらゆるものがある。それを最適化するとなれば、多角的・多面的に物事を測った上で「普通」を見つけ出し、設定する能力が必要である。数値化できない事象を測る方法をたくさん知っていればいるほど、センスが良くなる。

センスとは知識の集積である

センスがよくなりたいなら普通を知る方がいい。そして、普通を知る唯一の方法は、知識を得る事である。センスとは知識の集積である。例えば、センスがいい文章を書くには、言葉をたくさん知っていた方が圧倒的に有利である。これは仕事や生きるという事においても同様である。知識があればあるだけ、その可能性を広げる事ができる。

世の中には「誰も見た事のない、あっと驚く企画」というのがゴロゴロ転がっている。しかし、「あっと驚く企画」には2種類ある。

・「誰も見た事のない、あっと驚くヒット企画」:2%
・「あまり驚かない、売れない企画」:15%
・「あまり驚かないけれど、売れる企画」:20%
・「あっと驚く売れない企画」:63%

まずは「あっと驚く売れない企画」の多さに目を向け、現実の厳しさを知った上で、「あまり驚かないけれど売れる企画」に注目するといい。過去の蓄積、即ち「あっと驚かないもの」を知っていればいるほど、クリエイティブの土壌は広がる。その上で、あっと驚くアウトプットを目指すべきである。

過去を知ることは大切である

「あっ!」より「へぇー」にヒットは潜んでいる。皆が「へぇー」を思うものは、ある程度知っているものの延長線上にありながら、画期的に異なっているもの。「ありそうでなかったもの」である。

従来の考え方を遠ざけ、独創性ばかりにこだわりすぎると、文字通り「独りよがりのクリエイティブ」になってしまう。よきセンスを持つには、知識を蓄え、過去に学ぶ事が大切である。同時にセンスとは、時代の一歩先を読む能力も指す。過去を知って知識を蓄える事と、未来を読んで予測する事は、一見すると矛盾するように感じる。しかし、この2つは明確につながっている。知識にもとづいて予測する事がセンスである。

客観情報の集積がセンスを決める

センスをよくするためには、単に流行の情報を集積するだけではいけない。数値化できない事象を最適化するためには、客観情報ほど大切なものはない。センスの最大の敵は思い込みであり、主観性である。思い込みと主観による情報をいくら集めても、センスはよくならない。思い込みを捨てて客観情報を集める事こそ、センスをよくする大切な方法である。

効率よく知識を増やす3つのコツ

知識を増やしていく際は、3段階のアプローチがある。

①王道から解いていく
王道のものは必ず、数値化できない事象のよし悪しを判断し最適化するプロセスを経ている。

②今、流行しているものを知る
流行を知る手立てとして最も効率がいいのは雑誌。コンビニの棚に並ぶありとあらゆる雑誌を手にとってみるのがオススメ。複数読む内に流行の流れが見えてくる。

③「共通項」や「一定のルール」がないかを考えてみる