グローバル社会で重要なのはコミュニケーション能力
日本社会は、とても寛容である。酔っ払って、様々な迷惑をかける人が罰せられることはないし、授業をサボり、テストの点数が低い大学生でも卒業できる。一流企業では一生懸命に仕事をしなくても、会社の業績が安定していれば、それに合わせて収入が上がっていく人も大勢いる。
日本では、グローバル社会では通用しないことも特に問題にならず、許容される傾向がある。日本では普通に受け入れられていることが、必ずしも世界の常識ではない。
そして、一番の問題は「コミュニケーション能力の欠如」である。様々な文化の人たちが交流するグローバル社会で重要なのは、それらの違いを理解し、尊重することだが、そのために欠かせないのは効果的なコミュニケーションである。しかし、異文化が混在するグローバル社会で活躍するために必要とされるコミュニケーションやその他のスキルに関して、寛容な日本の社会の中では求められない。多くの日本人はそのことに気づかないまま、グローバル社会から取り残されるリスクがある。
グローバル社会で活躍するために必要な5つの力
①会話する力見知らぬ人と多岐にわたる会社ができることは「グローバル人材として重要な条件」である。一般的に日本人は誰かに質問されたら返事はするが、どれでは中身のある会話にはならないし、自分から見知らぬ人に話しかけて会話を促すことはしない。日本人は英語力にばかり気を配るが、問題は英語力ではなく、会話をする技である。重要になってくるのは様々な事柄に対する好奇心と自分の意見を持つことである。
②伝える力
溢れる情報の中で、伝えたいことを相手に聞いてもらうためには、どのような情報が大事かを認識し、必要な情報をわかりやすく、魅力的にパッケージして、相手を引きつけるようにプレゼンする必要がある。ただ事実を提供するのではなく、何らかの「メッセージ」や「ストーリー」を発信することが大事になってくる。
③自信
「自信がありません」という言い訳が通用するのは日本だからであって、アメリカやヨーロッパでは自信がなくてもそんなことは決して言わないし、できるだけ顔にも出さない。自信を持つことは、グローバルな環境では色々な意味で必須である。自分の考えに自信があれば、会議で発言するのも楽で、笑ってごまかさずに済む。自信のある人とない人の話では、自信のある人の話の方が圧倒的に説得力がある。自信がなくても、自信がある「ふり」をした方がいい。
④売り込む力
ものやサービスを消費者にアピールしていく必要性があるのと同様、組織の中で自分の存在感をアピールすることは、特に欧米企業では重要である。自分が組織にとって何か重要な貢献をした時は、そのことを伝えるべきである。どんなに素晴らしい仕事をしても、誰にも言わなければ、していないのと同じである。
⑤誇る力
謙虚であることよりも、ある程度の押しの強さがあった方が、メッセージも伝わり、リーダーシップも発揮できる。リーダーシップが求められる成果主義の世界では、謙虚さは「弱さ」と取られるリスクがある。何か批判や告発を受けた時は、無駄だと思っても、正々堂々と自分の考えや立場を説明したりすることを怠ってはいけない。そうしないと、かえって疑心暗鬼を生む危険性がある。
日本の文化から英語圏の文化にスイッチするための心得
①独立した一個人としての自信と意見をもつ②上下の関係にとらわれず、どんな時でも意見を言う
③常に自分を理解してもらう努力をする
④ローコンテクスト文化の人にもわかるように理論立てて話す
⑤伝えたいことがある時は、ポイントを早めにはっきり伝える
⑥ビジネス関係にも「個人的なつながり」を構築する
⑦議論を恐れない。議論の後は感情を引きづらない
⑧ネットワーキングを積極的にする
⑨声のイントネーションとボディランゲージで話にメリハリをつける