アルゴリズム・フェアネスとは
「アルゴリズム」は「数学やコンピュータで問題を解くための手順を定式化したもの」である。衣食住すべて、あるいは働き方や新しい友人や恋人まで、問いかければ優先順位つきで回答を返してくれる。アルゴリズムを利用すれば、各人の事情を踏まえた上で、幅広い選択肢を提供してくれる。
一方、アルゴリズムは便利すぎるがゆえに、大事なことを見失いかねない。私たちは気づかないうちにある方向へ誘導されてしまう可能性が十分にある。そこに歯止めをかけるのが「フェアネス」である。「フェアネス」とは「公平・公正」という意味である。
GAFAそれぞれのアルゴリズムに悪意はない。むしろ、フェイクニュースを発信するようなユーザーの悪意を、いかに摘み取るかに日夜腐心している。それぞれがフェアネスを追求している。
アルゴリズムに誘導される
しかし、何らかの計算で優先順位をつけていることは間違いない。グーグルは検索結果をズラリと表示してくれるが、その順番を決めているのはグーグルである。あるいはフェイスブックは様々な人を結びつけようとするが、どのような基準で人選しているのかわからない。アマゾンもたくさんの商品を紹介してくれるが、その商品を推す理由まで教えてくれない。
逆に言えば、GAFAに選ばれなかった情報や人物、商品、写真があるということである。グーグルで検索した場合、何を上位に表示して何を下に追いやるかは、グーグルのアルゴリズム次第。私たちは限定された選択肢の中から選択しているという意味で、GAFAに誘導されているとも言えるかもしれない。
今では国家並みの権力と影響力を持ったプラットフォームが複数現れて、それぞれにアルゴリズムを提供している。それらは単なる便利なツールの域を超え、私たちの自由を保証してくれるという、国家レベルで欠かせない存在になっている。しかし、彼らは一民間企業であることは変わりない。そこに国家に匹敵する膨大な権力を預けて大丈夫なのかという不安が残る。
フェアネルを求める3つの方法
フェアネスを求めるには、次の3つの方法がある。
①国家による規制・監視
②ブロックチェーン
③ユーザーが監視を続ける
国家はじわじわと権力を奪われようとしている。ブロックチェーンが普及するには、おそらく今から15年ほどかかる。技術としてのブロックチェーンは限定的な環境でどんどん実装されていくが、社会全体のインフラとして実装されるのは、まだまだ先の話である。
そこで、私たちユーザーは監視を続けることが大切である。単にサービスを享受するだけでなく、アンフェアだと思えば声をあげる必要がある。本当にアンフェアなら、同じことを考えるユーザーは多数いるはずである。これが最も効果的である。
アンフェアなことには声を上げよ
ユーザーとしてプラットフォームを監視するには、大きく2つの方法がある。
①不満や疑問を言葉にして、企業に直接、または国家やマスコミを使って間接的に訴えかけること。
②そのプラットフォームを離脱すること。続々と離脱者が現れると、何らかの対策が講じられるはずである。
アンフェアだと思えば指摘して、改善されないようなら別の信用スコアに移る。ユーザー一人ひとりがこうした動き方をすることで、提供する側もフェアネスに真剣に向き合い、競争を繰り広げることになる。