SNSで儲けようと思ってないですよね?: 世の中を動かすSNSのバズり方

発刊
2017年11月29日
ページ数
191ページ
読了目安
182分
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推薦者

SNSはブランディングの手段である
ソニー・デジタルエンタテインメントをソーシャルマーケティングの代表的企業として成長させたマーケターが、SNSを上手に使いこなすための基本的な考え方を紹介している一冊。

SNSの時代

ユーザーは利用時間の内、7割をSNSに費やしている、とも言われる。そして、10代においては、検索エンジンを利用している人よりも、グーグルは使わず、ツイッターやフェイスブックなどのSNSから、その記事に辿り着いている人が多いという結果が出ている。つまり、グーグルの検索に全く引っかからないネット活動が、爆発的に増えている。

これまでは、テレビを見て、経済新聞を読んでいれば、世の中の流れはおおよそつかめていた。しかし、今や情報流通の経路は、その構造自体が、スマホ以前と大きく変わった。20世紀であれば、企業が新製品を売り出す時はテレビCMや広告を使い、少し誇張して、短期的に大きな媒体でユーザーに認知を広める手法が常だった。しかし、SNS時代の今は、たとえ素晴らしいパッケージでも「あまり美味しくない」といった欠点があれば、すぐさま誰かがSNSで「イマイチ」の評価を下し、ユーザーは見向きもしなくなる。

その一方で、誰も知らないような小さな個人商店、サービスや商品であっても、「あの目利きの人がいいねをつけていた」となると、状況は一転し、すぐに行列ができる時代となった。

SNSならではの特性をいかに活用するか

スマホの発達により、個人の投稿がバズったり拡散したりしながら、かつての広告よりも広く多く、人々に影響を与えられるような産業構造が、メディアの変遷にとって偶然に生まれてしまった。

SNSの世界では、「情報伝達経路」や「人と人とのつながり方」が、リアルな世界とはずいぶんと異なっている。1つの投稿に対して、SNS上で同時多発的な「井戸端会議」が発生することにより、多くの人がその情報を「シェアする」ことになる。このような「SNSならではの特性」をいかに活用するかが、21世紀におけるビジネスの成功の鍵を握っている。

SNSの肝はブランディングである

SNSの肝は「アドバタイジング(広告)ではなく「ブランディング」である。ブランディングとは、ユーザーの「モノやサービス、企業」に対する共感、信頼を得ることでその価値を高める、マーケティング戦略を意味する。モノやサービスを知らしめる「広告」は一過性の戦略であるのに対し、ブランディングはユーザーや社会との接点を見つける、根源的な戦略であると言える。

SNSはあくまでも「中長期的なブランディングの一手段」として活用するのが正解である。つまり、SNSでは費用対効果は考えない。多くの人がSNSを上手く使えていない現状の根底には、「SNSはテレビCMにとって代わるメディア」という大きな誤解がある。本当に考えなければいけないのは、そのサービスや商品が「どのメディアの特性に合っているのか」という根本的なブランディングである。

ブランディングと広告の違いは、「投資」と「コスト」という考え方にある。SNSは中長期的なメリットを目指すブランディングだから、昨日今日で成果が上がらなくても良い。目先の数字だけしか見えてないようでは、今の時代にSNSを使いこなすことはできない。

本当にいいものを引き出す

SNSは良くも悪くも「リアルが透けて見える」メディアである。このSNS時代において問われるのは、いかに素直に、フィルターをつけずに、世の中の流れやマーケットを見て、クライアントのオーダーや商品のプロモーションにマッチさせていくかということ。

そして、ブランディング以前にコンテンツそのものが魅力的でなければ、ユーザーの心を掴むことはできない。スマホから大量に溢れる情報の中から、いかにユーザーが共鳴共感できるストーリーやアイデアを提供することができるのかを考えていく必要がある。

良きマーケターは、良きインタビュアーになっていい質問をして、クライアントから「本当にいいもの」を引き出すことが大切である。