ビジネスエリートになるための 教養としての投資

発刊
2020年5月28日
ページ数
256ページ
読了目安
287分
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投資の基本中の基本
長期投資を運用哲学とするファンドマネージャーが、投資の基本とコツを紹介している一冊。日々の値動きに左右されるのではなく、企業の本質的な価値を見極めた上で、投資をすることを勧めています。

幅広い知識を持ち、自分なりの仮説を構築し検証せよ

投資で成功するために重要なのは「総合力」である。総合力とは、バラバラになっているものを1つにまとめ上げる力のこと。自分なりの歴史観、価値観など、単なる知識ではない、広い意味での教養を持ち、自分なりの仮説を構築し、検証することが重要である。数字やデータを知っているだけではなく、幅広い知識を身に着けると同時に、それを上手に組み合わせて自分なりの仮説を導くことができれば、投資で成功する可能性が高まる。

 

日本人は投資が苦手なために損をしている

2019年9月時点の日本の個人金融資産の総額は1,864兆円であり、1995年時点の1,182兆円から1.55倍になった。年率2.3%増加したことになる。一方、1995年時点の米国の個人金融資産は2,343兆円だったが、2019年9月時点で9,855兆円にもなっている。年率13.3%も伸びている。

日本の個人金融資産の伸びが鈍いのは、金融資産に占める現預金が高いことにある。日本の個人金融資産は現預金53.3%、米国は12.9%である。そして投資信託が、日本3.9%に対して米国12.0%、株式が日本10.0%に対して米国34.3%。つまり、個人金融資産のうち、投資信託と株式に見られる日米差が大きく影響した。米国の場合、株式や投資信託の保有比率が高いだけでなく、米国企業の成長に即して株価が着実に値上がりした。こうした状況を解決するには、日本人もどんどん株式投資を始めれば良い。

 

企業価値を見極めて長期的な投資を

株式投資で重要なのは、その企業が作り出す利益である。利益が大きくなればなるほど、長い目で見れば結果として、株価もそれに連動して上昇する。株価は短期的に見ると、その時々の人気によって大きく上下にブレる。人気が高まっている時は株価もどんどん上昇するが、人気がなくなると一気に下落する。それが延々と繰り返されるが、長期的な株価の動きをグラフにすると、利益の増え方とリンクしている。

株価は、投機家の売り買いによって、企業の合理的な価値から大きく上下に乖離するケースがある。これが合理的な企業価値を見極めて投資行動を取る投資家にとっては、大きな収益チャンスにつながる。

 

売らなくていい会社しか買わない

売らずに済む会社を見つけるには、「構造的に強靭な企業」を見つける。構造的に強靭な企業とは、次の3つの要素に支えられている。

 

①付加価値の高い産業

本当に世の中にとって必要か?

 

②圧倒的な競争優位性

今さらその人たちの向こうを張って勝負しようと誰も思わないほど圧倒的に強いか?

 

③長期的な潮流

不可逆であると言い切れるもの。人口動態など、ある意味「事実」の未来予想。

 

こうした海外でも通用するような参入障壁による強靭な構造に支えられた日本企業は、東京証券取引所に株式を上場している3702社のうち、200社あるかないかである。5%程度である。

 

高い参入障壁を持っている会社を見つけて投資したら、あとはその参入障壁が失われていないかどうかを、様々な数字を見ながらチェックする。参入障壁がなくなったと判断した時は、売るタイミングである。これは競争環境によって判断する。