2018年に日本経済は破綻する
2018年に中国発の金融危機を伴いながら世界経済は一気に厳しい状況になると予想される。経済の落ち込みはリーマン・ショックの時を上回る規模となる可能性が高い。
この金融危機と世界不況に対処するために、各国の政府と中央銀行は、リーマン・ショックの時と同様な対応を行うはずである。即ち、金融緩和と財政政策で金融危機を止め、景気を浮揚させようとする。しかし、注意しなければならないのは、前回のリーマン・ショックの時に比べて、各国とも政策発動の余地が狭まっていることである。どの国も政府債務残高が、リーマン・ショック直前の2007年の時と比べて大きく増えている。さらに政策金利も下がっており、金融政策の発動余地も狭まっている。
このような状況で、経済破綻する恐れがあるのが日本である。日本の政府債務残高は2016年時点でGDP比232%と、世界の中で飛び抜けて高い。さらに金融緩和策もこれまで大規模な緩和を実施しており、限界が見えてきている。日銀はついに禁じ手である国債引き受けに追い込まれる可能性が高い。そして、国債の暴落と同時に円が暴落して急激な輸入インフレが起こる。その結果、ハイパーインフレがやってくる。
日本は資本主義の限界に最初に直面する
資本主義を歴史の大きな流れの中で捉え、資本主義が今後どのような運命を辿るのかを予測するにあたって、欠かせない視点がある。それは、日本という国に資本主義の将来の姿が映し出されているという視点である。
日本の景気循環は米国の景気循環よりも10年早く進行している。トランプ大統領がやろうとしている大幅な法人減税とインフラ投資を中心とした積極的な財政支出による景気刺激策は、かつて日本の政府が景気が悪くなるたびに実施してきた政策と同じである。結果予想されるのは、米国は経済成長力が高まることはなく、代わりに膨大な財政赤字を抱えて苦しんでいる現在の日本と同じようになっていくだろうということである。
日本経済が米国経済に10年先行しているのは、日本がバブル崩壊を米国よりも10年早く経験したためである。戦後日本は奇跡の復興を遂げ、高度経済成長を経て、資本主義経済としての成長を先進国の中で最も早く遂げたことで、成長の限界に最初に突き当たった。日本は資本主義が最も進んでいる国だからこそ、金融緩和の規模も財政赤字の規模も世界の中で突出して大きい。
日本の長期金利がもし本格的な上昇局面に転じたら、国債の暴落と財政破綻につながる。つまり、日本の長期金利はこのまま永久に下がり続けるか、国債が暴落して資本主義のシステムが壊れるかの、いずれかの選択肢しか残されていない。
資本主義という経済システムが経済の規模拡大に適したシステムであるとすれば、すでに人口と経済の両方において成長の限界を世界でいち早く迎えた日本が、世界で最も早く資本主義崩壊の危機に直面することは、歴史的必然性があると言える。
資本主義では生産性向上の限界に突き当たる
近年になって科学技術の進歩と生産性の伸びが比例しなくなった現実に、資本主義は直面している。その理由の1つは「エントロピー増大の法則」にある。これは「自然界に存在する全てのものは、自然に放っておくとエントロピーが大きくなっていく、つまり整然として秩序ある状態から乱雑で無秩序な状態へと自然に変化していく」という法則である。
人間は自然の循環システムの中で経済活動を営んでいるから、経済もまた自然環境から制約を受けている。そのため、経済活動にもこのエントロピー増大の法則が働いている。
科学技術は人間のために有用なエネルギーやモノを生み出す技術を指す。しかし、この時、エントロピー増大の法則に従って、私たちは人間にとって役に立たないエネルギーや無用な物質を出すという代償を必ず払っている。つまり、科学技術が進歩すればするほど、外部不経済として生産性向上は阻まれる。そして、やがて経済は成長の限界に突き当たることになる。