キーパーソンを特定し、世界観を確認する
プレゼンテーションが「アイデアのプレゼント」であるならば、まずはクライアントが「何に困っているのか」「なぜそれをしなければいけないと、思っているのか」を明確に理解しなければならない。それにはクライアントの理念や使命などから発する、事業の動機や背景、戦略目標から確認する必要がある。
大きな組織では1つの決定事項に多くの利害関係者が存在し、関係者の課題意識が多様であることが想定される。それらの優先順位を分析するためにはDMU(意思決定単位)分析を使って「キーパーソン」を特定する。そしてキーパーソンのニーズや動機を探る。
キーパーソンの「視座(どの位置から事業を見ているか)」「視点(経営上の重要な着眼点を何に見ているか)」「視野(責任範囲)」を確認し、トップ層特有の「遠景の世界観」を確認する。提案に対する期待値はこの世界観の変化に応じて高くなる。
「課題=良い問い」から考える
「御社の課題はこれではないでしょうか?」と、聞き手が判断と対応を迫られる問いを課題(イシュー)と呼ぶ。良いプロジェクトは、まずクライアントの経営上の課題を設定することから始める。なぜなら、コンサルティングとはクライアントがその答えをどうしても聞きたいと思うような「良い問い」を立て、その後に課題に対する解決策を案出することだからである。
良いコンサルタントは、クライアントからプロジェクト開始前に提示された依頼企業の問題意識そのものを、本当に顧客価値のある解を見つけ出すために「それは本当の課題だろうか?」と疑い、自ら問いを立てようとする。なぜなら、クライアントの問題意識が本質と異なっている場合もあり、そのまま鵜呑みにするとプロジェクトで成果が上がらないという苦い経験をしているからである。プロジェクト初期からクライアントと「何が課題なのか?」という意識を相互に共有しておけば、プロジェクトの成功確率が高まる。
良い課題を設定するための3条件
①本質的な選択肢であるそこに答えが出るとそこから先の検討方向性に大きく影響を与える
②深い仮説がある
「ここまでスタンスをとるのか」というところまで一気に踏み込んでいる
③答えを出せる
現在の自分の技術・状況で答えを出すことができる
良い課題設定にたどり着くためには、まずは「Should(すべきか)+主語?」を使って問いかける。
次に「What」「How」「Which」「To Whom」「Who」「When」「Where」などから選択して加え、課題を設定する。
課題を設定するための手法
①原因指向型あるべき姿とのギャップが生じ、好ましくない状況を生み出した原因を過去から現在にかけて探るため「WHY-TREE分析」「因果関係分析」などを使用して、解くべき課題を設定する。原因指向型の課題設定の方法は「Whay-So?」(それはどうして?)」とギャップが起きた原因を現在から過去に遡り何度も深掘りして「見る」ことである。
②目標指向型
設定した目標と現状とのギャップを埋めるために、未来に向けた環境分析と自社分析を実行し課題設定する。組織の最上位職の重要な役割の1つは「ありたい姿」からのギャップを「創る」ことで自ら課題を設定し、次にそれを実現するために、いくつかにステップや部門ごとに分けて「あるべき姿」として良い課題を「探す」ことで設定する。
マクロな経営環境の要素であるPEST分析と3Cフレームワークを組み合わせた 6C分析(顧客、自社、競合、統制者、流通チャネル、協業者)を使う。6C分析で得た知見を活用し、未来を見据えたクロスSWOT分析をして課題を抽出する。